新薬5製品と再生医療等製品1製品の計6製品が10月22日に薬価収載された。このうちKrystal Biotech Japanの再生医療等製品で塗布するタイプの栄養障害型表皮水疱症(DEB)治療薬・バイジュベックゲルは即日発売した。マグミット製薬の小児用量の追加に伴う新剤形のマグミット錠100mgは10月29日に、大正製薬の不眠症治療薬・ボルズィ錠は11月27日にそれぞれ発売予定。ボルズィは大正製薬とMeiji Seika ファルマが共同販売する。
薬価収載された新薬5製品と再生医療用製品1製品の発売日(予定、未定含む)は次のとおり。カッコ内は成分名、製造販売元。発売日、及び薬効分類/投与経路順に記載。
【10月22日発売】
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バイジュベックゲル(一般名:ベレマゲン ゲペルパベク、Krystal Biotech Japan)
効能・効果:栄養障害型表皮水疱症
薬価:2瓶1組 295万5232.70円
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数306人、販売金額181億円
国の指定難病の栄養障害型表皮水疱症(DEB)は、VII型コラーゲンα1鎖(COL7A1)遺伝子変異により、VII型コラーゲン(COL7)タンパク質の産生が不足し、皮膚と粘膜組織に影響を及ぼす希少な遺伝性皮膚疾患。皮膚を支えるタンパク質(VII型コラーゲン)は、表皮と真皮をつなぎとめる「係留線維(アンカリングフィブリル)」という糸のような構造を作るが、DEB患者は遺伝子変異により係留線維を作ることができず、表皮がはがれて傷ができ、その間に体液がたまることで水疱や潰瘍が生じる。全身の痛み、感染症、皮膚がんを引き起こす。
単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)ベースの遺伝子治療薬のバイジュベックは、ケラチノサイトおよび線維芽細胞に感染して正常なCOL7A1遺伝子を創傷部に送達し、COL7タンパク質を補うことでDEBの創傷を改善する。用法・用量は「通常、週1回、本品の液滴を約1cm×1cmの格子状になるように皮膚創傷部に滴下塗布する。創傷面積1cm2あたりの投与量は2×107PFU(10μL)を目安とする」。投与対象者の年齢制限はなく、出生時から投与可能。在宅投与の承認を取得した遺伝子治療薬でもある。
在宅投与は、アルフレッサグループでスペシャリティ製品の流通を手掛けるエス・エム・ディ(SMD)社と連携して実現。両社で製品の輸入、製造、保管、流通、配送と、その後のカスタマーサポートを含むワンストップサービスを構築した
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【10月29日発売予定】
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マグミット錠100mg(酸化マグネシウム、マグミット製薬)
薬効分類:234 制酸剤(内用薬)、235 下剤・浣腸剤(内用薬)
効能・効果:○下記疾患における制酸作用と症状の改善:胃・十二指腸潰瘍、胃炎(急・慢性胃炎、薬剤性胃炎を含む)、上部消化管機能異常(神経性食思不振、いわゆる胃下垂症、胃酸過多症を含む)、○便秘症、○尿路蓚酸カルシウム結石の発生予防
薬価:100mg1錠12.70円(1日薬価:66.80円)
市場予測(ピーク時7年後):投与患者数6.5千人、販売金額0.44億円
小児用量が追加され、100mg錠は新剤形となる。小児の用法・用量は、緩下剤として使用する場合として、「通常、1歳以上の小児には酸化マグネシウムとして、1日20~80mg/kgを食後の2回に分割経口投与する」。
【11月27日発売予定】
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ボルズィ錠2.5mg、同錠5mg、同錠10mg(ボルノレキサント水和物、大正製薬)
薬効分類:119 その他の中枢神経系用薬(内用薬)
効能・効果:不眠症
薬価:
2.5mg1錠 47.80円
5mg1錠 71.30円(1日薬価:71.30円)
10mg1錠 106.40円
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数708千人、販売金額119億円
オレキシン受容体(OX1およびOX2受容体)拮抗薬。用法・用量は「通常、成人には1日1回5mgを就寝直前に経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日1回10mgを超えないこととする」。
大正製薬はMeiji Seika ファルマと共同販売する。不眠症に対するオレキシン受容体拮抗薬としては、ベルソムラ錠、デエビゴ錠、クービビック錠に続く4剤目となる。
【発売準備中/発売日未定/非開示】
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ヨビパス皮下注168 µgペン、同皮下注294 µgペン、同皮下注420µgペン(パロペグテリパラチド、帝人ファーマ)
薬効分類:243 甲状腺、副甲状腺ホルモン剤(注射薬)
効能・効果:副甲状腺機能低下症
薬価:
168μg0.56mL1キット 57万1509円
294μg0.98mL1キット 58万4139円
420μg1.4mL1キット 59万6310円
市場予測(ピーク時10年後):投与患者数1.2千人、販売金額129億円
副甲状腺ホルモン(PTH)の徐放性プロドラッグ。用法・用量は「通常、成人には、PTH(1-34)として1回18μgを開始用量とし、1日1回、皮下注射する。以後、患者の血清カルシウム濃度の十分な管理のもとに、1日1回6~60μgの範囲で適宜用量を調整して皮下投与するが、増量又は減量は3μgずつ行うこと」。
1日1回皮下投与で、24時間にわたり血中PTH濃度を生理学的範囲に維持できる国内初の薬剤となり、根本的な治療薬として期待されている。対象疾患とする副甲状腺機能低下症は、体内のカルシウムとリン酸のバランスを調整するPTHの不足によって引き起こされる内分泌疾患。
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スピジア点鼻液5mg、同7.5mg、同10mg(ジアゼパム、アキュリスファーマ)
薬効分類:113 抗てんかん剤(外用薬)
効能・効果:てんかん重積状態
薬価:
5mg0.1mL1瓶 8336.50円
7.5mg0.1mL1瓶 9337.60円
10mg0.1mL1瓶 1万120.00円(1日薬価:1万120.00円)
市場予測(ピーク時8年後):投与患者数7.0千人、販売金額5.3億円
ベンゾジアゼピン系薬剤。有効成分のジアゼパムは注射剤などの剤形でてんかん発作時の治療薬として日本の医療現場で約60年使用され、坐剤は医療機関外においても患者や介護者などにより使用されてきた。今回、国内初の経鼻投与型抗けいれん薬となり、また成人では初の医療機関外で投与可能なレスキュー薬となる。
用法・用量は「通常、成人及び2歳以上の小児には、患者の年齢及び体重を考慮し、5~20mgを1回鼻腔内に投与する。効果不十分な場合には4時間以上あけて2回目の投与ができる。ただし、6歳未満の小児の1回了は15mgを超えないこと」。
同剤はアキュリスが製造販売元として手掛けるが、親会社のヴィアトリス製薬が同剤にどのように関わるか現在検討中。
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セタネオ点眼液0.002%(セペタプロスト、参天製薬)
薬効分類:131 眼科用剤(外用薬)
効能・効果:緑内障、高眼圧症
薬価:0.002%1mL 800.00円(1日薬価:40.00円)
市場予測(10年後):投与患者数148千人、販売金額36億円
FP受容体作動作用に加え、EP3受容体作動作用を有する新規メカニズムのプロスタグランジン系治療薬。セペタプロストはプロドラッグであり、点眼後は主に角膜中で速やかに加水分解され、FP受容体及びEP3受容体に対して結合、刺激することで房水流出を促進し、眼圧下降作用を示すと考えられている。既存のFP受容体作動薬を上回る眼圧下降作用を期待して開発された。用法・用量は「1回1滴、1日1回点眼する」。