日本医療政策機構 4人に1人が費用負担で受診控えを経験 2割が在庫切れ、供給不足で医薬品入手できず
公開日時 2025/03/17 04:49
日本医療政策機構は3月17日、「2025年日本の医療に関する世論調査」の結果を公表した。6割が必要時に医療機関を受診できると回答した一方で、4人に1人が費用負担による受診控えの経験があることが分かった。また、2割が在庫切れや供給不足に伴い希望する医薬品を入手できない経験を有していた。医療情報の利活用については、4割弱が「新しい治療法や治療薬の開発」に期待していた。
調査は、20 歳以上の日本人男女1000人を対象に、24年12月26日から25年1月7日にオンラインで行ったもの。1万1517人に配信し、1384人(回収率12.01%)から回答を得た。回答者の属性は、女性50.7%、男性49.3%。年齢階級は、60~99歳56.2%、50~59歳12.0%、40~49歳12.9%、30~39歳9.9%、20~29%9.0%。
◎医療制度の分かりやすさ 「満足」37.4%、「不満」49.4%
医療に対する満足度は「満足」63.6%、「大いに満足」5.8%に対し、「不満」26.7%、「大いに不満」3.9%だった。一方で医療制度の分かりやすさは、「満足」37.4%に対し、「不満」が49.4%と上回った。世代間の医療費負担の公平性についても、「満足」40.9%に対し、「不満」が43.8%となっている。
医療アクセスのうち、「必要な時(夜間・救急を除く)に医療機関を受診できるか」との問いに対し、「だいたい受診できる」44.0%、「いつでも受診できる」14.2%となり、約6割が必要時に医療アクセスできると回答した。一方で、「必要な時に医療機関を“あまり受診できない(12.0%)”もしくは受診できない(5.9%)“と回答した主な理由」を聞いたところ、最も多い回答は「待ち時間が長い」で31.8%、次いで「予約が取りにくい」で22.3%だった。
「医療費の支払いが心配で、受診を控えたことはあるか」との問いに対し、「ときどきある」が17.9%、「よくある」は7.4%あり、全体の25%(4人に1人)が費用負担による受診控えを経験していることが分かった。
◎医薬品価格 43.2%が医療用医薬品は「妥当」 39.9%がOTC医薬品は「高い」
過去1年間で、希望する医薬品が「在庫切れ」や「供給停止」で入手できなかった経験はあるかを聞いたところ、「たまにある」19.2%、「よくある」2.4%だった。医薬品の価格について聞いた。医療用医薬品について、「妥当」との回答が43.2%だったのに対し、「高い」は29.3%だった。一方、OTC医薬品については「妥当」の32.3%に対し、「高い」は39.9%となり、医療用医薬品と逆の傾向を示した。
マイナ保険証の利活用について回答を求めた。「医薬品の履歴データや特定健診データに基づく診断や処方が受けられる」ことについて、「やや便利」36.3%に対し、「あまり利便性を感じない」は33.1%。また、「とても便利」の13.8%に対し、「まったく利便性を感じない」は16.8%だった。
◎医療情報の利活用 48.6%が「目的によって協力したい」 治療薬等の開発期待37.2%
医療情報の利活用として、「研究者等の第三者があなたの診療情報(カルテ情報や検査結果など)を、個人が特定されない形で医学研究に活用することについて」聞いたところ、「目的によって協力してもよい」が48.6%、「積極的に協力したい」が10.6%で、「あまり協力したくない」21.4%、「絶対に協力したくない」8.9%を回答を上回った。医療情報の研究等への活用で「どのような成果を最も期待するか」については、最も多かった回答は「新しい治療法や治療薬の開発」で37.2%。次いで、「医療費の適正化」が17.1%、「病気の予防法の発見」で15.3%だった。
◎公的医療サービスの将来像「現在の水準維持のために経済的負担増加はやむを得ない」42.4%
「公的医療サービスの提供における、経済的負担と給付の将来像について、将来の姿としてあなたの感覚に最も近いものは」との設問に対し、最も多かった回答は「現在の水準維持のために経済的負担増加はやむを得ない」が42.4%。次いで、「サービス水準を下げても現状の負担を維持すべき」が23.3%、「サービス水準を大幅に下げ負担も抑制すべき」は20.1%だった。