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ARI社 全身麻酔患者状態のAI予測モデルで横浜市大医学部麻酔科学教室、戸塚共立第2病院と共同研究

公開日時 2024/09/04 04:50
ARアドバンストテクノロジ(ARI)は9月3日、横浜市立大学医学部麻酔科学教室、医療法人横浜未来ヘルスケアシステム戸塚共立第2病院と、全身麻酔患者状態のAI予測モデルに関する共同研究を開始したと発表した。麻酔患者の血圧や心拍数など電子化されている情報をリアルタイムでAIが分析し、今後起こりえるイベントを予測、麻酔科医にその情報をアドバイスするシステムの開発を目指すというもの。加えて、研修医、若手医師、周麻酔期看護師の育成に活用されるナレッジ共有システムの開発も想定している。

全身麻酔の診療で使われる全身麻酔薬は、その効果を確実に達成する必要がある一方で、低血圧等の合併症が起こりやすいことが知られている。このため、常に薬物が十分な効果を発揮し、かつ合併症が起こりにくいよう薬物投与をコントロールするほか、この状態を達成するための薬物効果や患者状態の評価に加え、数十秒先、数分先、数十分先の患者状態を予測できることが重要となっている。

◎手術中の全身麻酔患者のバイタルサインの変動からAIが患者の容体の変化を予測

今回の共同研究では、手術中の全身麻酔患者のバイタルサインの変動からAIが患者の容体の変化を予測し、麻酔科医にサジェストするシステムを開発する。このためARIは、匿名化された実際の手術中のバイタルサインデータを戸塚共立第2病院(倫理委員会承認済み)から受領し、麻酔科医の指導のもとで、ARI所属のバイオメディカル分野に精通したデータサイエンティストが分析し、試作アルゴリズムの開発を行っている。なお、ARIを含む共同開発を行う3者は、7月10日付で全身麻酔の患者状態をAI予測した臨床用モデルについて特許申請した。

◎横浜市大麻酔科学教室・後藤教授 AI診療支援とナレッジ共有システムは課題解決の画期的システ

横浜市立大学医学部麻酔科学教室の後藤隆久教授は、「10 時間超の手術もざらにあるなかで、麻酔科医が全ての麻酔症例の時間を最高の注意力でモニタ—することは至難の業。ARI と共同開発するAIによる診療支援およびナレッジ共有システムは、これらの課題を解決する画期的なシステムと認識し、麻酔科学教室としても力を入れている」とコメント。医療法人横浜未来ヘルスケアシステムの横川秀男理事長は、「当院は、このシステムの構築に全面的に協力し、完成の暁には我々のグループ病院において、同システムを積極的に活用していきたい」と述べた。

ARIの武内寿憲代表取締役社長 は、「匿名化された患者の手術中バイタルデータを解析および活用する学際的な研究は大きな意義があると考えている。弊社として研究に留まらず、社会実装までを見据えたプロジェクトと捉え、中長期的な業績に大きく寄与すると考えている」と強調した。
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