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SABCS 2022 リボシクリブ+ET併用 HR陽性HER2陰性進行性乳がんの多剤併用化学療法よりPFS大幅延長

公開日時 2022/12/20 04:48
ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性の閉経前または閉経期前後の進行性乳がん患者に対するファーストライン治療において、CDK4/6阻害薬リボシクリブと内分泌療法(ET)の併用が、多剤併用化学療法と比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に約1年間延長させることが分かった。無作為化オープンラベル第2相試験「RIGHT Choice」の結果から明らかになったもの。被験者の約半数はvisceral crisis(差し迫った生命の危機のある内臓転移)を有する症例であった。米テキサス州サンアントニオで開催のサンアントニオ乳がんシンポジウム(バーチャル形式同時開催)のGeneral Sessionで、台湾National Taiwan University HospitalのYen-Shen Lu氏が12月6日に発表した。(メディカルライター/ヘルスケアビジネスコンサルタント 森永知美)

◎無作為化オープンラベル第2相試験「RIGHT Choice」

進行速度が速い疾患や症候性内臓転移など、迅速な疾患コントロールを必要とする進行性乳がんの標準治療は化学療法であるが、単剤と比べ多剤併用による化学療法は高い有効性と関連することから、忍容可能な症例では多剤併用化学療法が選択されることがある。

RIGHT Choice試験は、進行性乳がんにおいてCDK4/6阻害薬+ET併用と多剤併用化学療法とを直接比較した初めての前向き試験。同試験の対象は、閉経前または閉経期前後でHR陽性HER2陰性の進行性乳がん患者222例であった。症候性の内臓転移、急速な疾患進行または内臓転移の兆候、または顕著な症状を伴う非内臓転移を有する侵攻性疾患であることと、進行性乳がんに対する全身療法の治療歴がないこと、また測定可能病変を有することなどが登録基準に含まれた。

リボシクリブ(600 mg、3週投与1週休薬)+レトロゾールまたはアナストロゾール+ゴセレリンの併用を投与する被験者群(112例)か、治験担当医師の選択による2剤併用化学療法(ドセタキセル+カペシタビン、パクリタキセル+ゲムシタビン、カペシタビン+ビノレルビン)を施行する被験者群(110例)に無作為に割り付けた。

◎主要評価項目はPFS、副次評価項目はTTF、ORR、CBR、OS

主要評価項目はPFS、副次評価項目は治療成功期間(TTF)、奏効率(ORR)、臨床ベネフィット率(CBR)、全生存期間(OS)などであった。

ベースラインの患者特性は以下の通り。年齢中央値はリボシクリブ併用群44歳、化学療法群43歳、アジア人比率はリボシクリブ併用群53.6%、化学療法群52.7%、ER+≥50%の比率リボシクリブ併用群84.8%、化学療法群86.4%、肝転移または肺転移を有する割合リボシクリブ併用群79.5%、化学療法群77.3%、visceral crisisを伴う割合リボシクリブ併用群54.5%、化学療法群50.0%であった。

データカットオフ時点(2022年4月12日)で治療を継続していた割合はリボシクリブ併用群が45.4%、化学療法群は23.6%だった。観察期間中央値は24.1か月であった。

◎PFS 化学療法群12.3か月に対し、リボシクリブ併用群は24.0か月

PFS中央値は、化学療法群が12.3か月だったのに対しリボシクリブ併用群は24.0か月、ハザード比(HR)は0.54(95% CI: 0.36 – 0.79, p=0.0007)でリボシクリブ併用群が有意に延長した。サブグループ解析では、リボシクリブ併用群の優位性が一貫して示された。
TTF中央値は化学療法群の8.5か月に対し、リボシクリブ併用群は18.6か月(HR 0.45, 95% CI: 0.32 – 0.63)だった。

◎ORR リボシクリブ併用群65.2%、化学療法群60.0%

ORRはリボシクリブ併用群65.2%、化学療法群60.0%、CBRはそれぞれ80.4%、72.7%と、いずれも2群同等だった。また奏効までの時間(TTR)においても、中央値はリボシクリブ併用群4.9カ月、化学療法群3.2カ月(HR 0.78, 95% CI: 0.56 – 1.09)で同等だった。
薬剤への曝露期間中央値は化学療法群が8.6カ月だったのに対し、リボシクリブ併用群は15.0カ月、一度も用量減量しなかった割合は化学療法群の54.0%に対してリボシクリブ併用群は72.3%だった。

有害事象(AE)の発現率は2群とも全グレード(全G)100%、グレード3または4(G3/4)がリボシクリブ併用群75.0%、化学療法群71.0%だった。治療関連の重篤なAEは全Gがリボシクリブ併用群1.8%、化学療法群8.0%、G3/4はリボシクリブ併用群0.9%、化学療法群7.0%、投与中止に至った治療関連AEは全Gがリボシクリブ併用群7.1%、化学療法群23.0%、G3/4はリボシクリブ併用群6.3%、化学療法群7.0%だった。

いずれかの被験者群で20%以上に発現した主なAEは、好中球減少症(リボシクリブ併用群:全G 82.1%、G3/4 58.0%、化学療法群:全G 49.0%、G3/4 35.0%)、白血球減少症(リボシクリブ併用群:全G 48.2%、G3/4 23.2%、化学療法群:全G 26.0%、G3/4 7.0%)、貧血(リボシクリブ併用群:全G 33.9%、G3/4 5.4%、化学療法群:全G 40.0%、G3/4 9.0%)、ALT上昇(リボシクリブ併用群:全G 19.6%、G3/4 5.4%、化学療法群:全G 30.0%、G3/4 6.0%)、AST上昇(リボシクリブ併用群:全G 19.6%、G3/4 7.1%、化学療法群:全G 29.0%、G3/4 6.0%)、悪心(リボシクリブ併用群:全G 12.5%、G3/4 0%、化学療法群:全G 27.0%、G3/4 1.0%)、嘔吐(リボシクリブ併用群:全G 7.1%、G3/4 0.9%、化学療法群:全G 30.0%、G3/4 0%)などだった。
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