ロート製薬 国内医療用薬市場に参入 日本点眼薬研究所買収で
公開日時 2019/11/15 03:50
ロート製薬は11月13日、医療用眼科点眼薬の製造販売などを行う日本点眼薬研究所(上竹あゆみ社長、名古屋市)の全株式を取得し、国内の医療用医薬品市場に参入すると発表した。株式譲渡は2020年3月1日を予定。買収額は非開示。20年3月以降、日本点眼薬はロートの100%子会社として存続し、研究開発や生産、MRによる情報提供・収集活動なども継続する。
ロートは今回の買収について、「将来の医療用医薬品への参入のきっかけとし、眼科領域の医療関係者に役立つ製品・サービスを提供し、世界中の人々のアイケアに貢献していく」としている。ロートは創業以来、主に目薬や胃腸薬などの一般用医薬品の製造販売を行ってきたが、眼科領域のアンメット・メディカル・ニーズに挑戦するため、医療用医薬品市場にも参入することにした。具体的な参入時期は開示していない。
日本点眼薬は1961年に設立され、防腐剤無添加点眼薬のための「PFデラミ容器」や、抗アレルギー点眼薬などに必要な難溶性薬物を溶かす技術の開発などに成功した。ほとんどの医療用点眼薬には通常、防腐剤が入っており、防腐剤が外部の細菌から点眼薬を守る役目をしている。ただ、防腐剤により眼に炎症を起こすこともある。そこで、特殊なフィルターを用いた容器により外部からの細菌の侵入を防ぐ点眼薬を開発し、同社の強みとなっている。18年度売上は56億円。
ロートは今回、日本点眼薬が持つPFデラミ容器などの技術と、ロートの一般用点眼薬リーダーとしての強みを相乗的に生かすことで、「他にはない優れた眼科用製品を開発・導入し、国内だけでなく海外の眼科領域への事業を拡大する」としている。