日本医療機能評価機構 抗がん剤総投与量上限を上回る投与で注意喚起 心筋障害発症
公開日時 2018/07/23 03:50
日本医療機能評価機構は、心毒性があるため総投与量が定められている抗がん剤ドキソルビシン塩酸塩製剤を、誤って総投与量を上回って投与し、心筋障害が発症したケースがあったとして「医療安全情報」No.140で取り上げ、医療従事者に注意を呼びかけた。同情報では「総投与量は、患者の生涯にわたって投与する累積量」であると強調し、総投与量を把握できる仕組みを構築するよう求めた。
症例は、同機構に医療機関から2014年1月1日~2018年5月31日までに2件報告された。定められている500mg/m2を超えて、それぞれ620mg/m2、600mg/m2投与され、いずれの症例でも心筋障害を発症した。
ミスが起きた医療機関では、対策として▽他院からの紹介状や患者からの情報などで過去の治療歴を確認し、記録する▽電子カルテのシステムを改善し、医師が処方する際に添付文書の総投与量の上限を超えるとアラートが出るようにする▽薬剤師はレジメンのチェックリストに総投与量を記載し確認する▽患者へ情報を提供するためにお薬手帳に総投与量を記載し説明する――ことにしたという。医療安全情報は7月17日に発表された。