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ヘルスケアにはデメリットばかり:英のEU離脱

公開日時 2016/07/22 03:50

英国は、EU離脱を6月末の国民投票で決めたが、ヘルスケアの観点から見ると、離脱はデメリットをもたらすばかりのようだ。米医薬専門誌「PharmExec」(Pharmaceutical Executives)最近号が離脱による影響についての論説や識者の寄稿を相次いで掲載したが、離脱のデメリットばかりが目立ったようだ。これら報道を紹介する。

英国製薬工業協会(ABPI)や英国バイオシミラー協会(BAA)など製薬団体はかねてから、EU離脱は英国医薬品産業や患者の医薬品アクセス面ばかりでなく、科学技術の進展など幅広い観点から、デメリットをもたらすと反対を主張していたが、それが現実となって降りかかろうとしている。

同誌は、デメリットを列挙する。

*英国の科学者や企業はEUの研究助成金対象となっていたが、対象でなくなる恐れがある。これにより、英国のライフサイエンス・インフラの低下が予想される

*EMA(欧州医薬品庁)が移転することで、多国籍企業もロンドンの拠点を移す可能性がある。同時に、国際的な銀行が拠点をロンドンから他の欧州諸国に移すことより、この動きに拍車をかけ、英国市場の魅力が薄れる。すでに、J.P.Morgan社は英国での業務再編を発表した

*EMAが移転することで、製薬企業にとっては、英国での臨床試験実施の意味が薄まり、実施件数が減少する。同時に新薬への患者アクセスが遅れるおそれがある。結果的に、英国医薬品企業の売上げ減少につながる

*ヒトの移動が従来に比べ不自由になり、製薬企業にとっては、スタッフや研究者の移動の自由が障害される。同時に現在英国に滞在する研究者が留まるかも疑問である

*EU単一特許制度からも除外されることで、特許面でのメリットも失う

*EMAを中心に進めている個別化医療の促進や希少疾病薬の研究開発ネットワークなどの活用が困難になる

*英国立医療技術評価機構(NICE)は、EUでのHTA(医療技術評価)ネットワークの中心で旗振り役であるが、その地位の低下の恐れがある―など。


デメリットの枚挙にいとまがない印象だが、国民投票で離脱に投じた有権者は、身近な医薬品が「遠くなる」とは夢にも思っていなかったに違いない。「PharmExec」誌は、英国人は「火遊びをして火傷をした」との識者のコメントを載せている。

 

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