術後の抗凝固薬・抗血小板薬の投与再開忘れに注意を 脳梗塞発症も 日本医療機能評価機構が呼びかけ
公開日時 2016/05/20 03:52
日本医療機能評価機構は、手術など出血を伴う医療行為を行うために投与を一旦中止していた抗凝固薬・抗血小板薬を、投与再開するのを忘れ、脳梗塞を発症したケースもあったとして、「医療安全情報」No.114で医療従事者に注意を呼びかけた。
これは5月16日付で発表されたもの。抗凝固薬・抗血小板薬の再開忘れは2012年1月~16年3月末までに、医療機関から同機構に4件の報告が寄せられたという。ワーファリン錠が2件、プラザキサカプセルが1件、バイアスピリン錠が1件。
安全情報が紹介しているケースでは、医師は術後出血のリスクを考え、抗凝固薬の再開時期を遅らせる予定であったが、そのまま再開しなかった。術後17日目、医師が患者に声をかけると反応がなかったため頭部CT検査を行ったところ、脳梗塞を認めた。別のケースでは医師が入院時指示に手術翌日から抗血小板薬を再開することを記載していたが、看護師が見落とし再開しなかった。術後9日目、患者が傾眠傾向であったため頭部MRI検査を行ったところ、多発性の脳梗塞を認めた。
ミスを報告した医療機関では▽術後指示に投与再開日の記入欄を追加する▽病棟薬剤師は、術後の抗凝固薬や抗血小板薬の内服状況を医師に情報提供する――という対策がとられたという。