田辺三菱・三津家社長 業務生産性改革に注力 営業体制はエリア重視にシフト
公開日時 2016/05/13 03:50
田辺三菱製薬の三津家正之社長は5月11日の2016年3月期決算会見で、「コストの低減+人材の活躍」を柱とする業務生産性改革に引き続き注力する方針を示した。コストについては売上原価や販管費の見直しなどで、16年度見込みで65億円、20年目標で200億円の削減を目指す。人材については、業務プロセスの改革を継続するとし、国内連結で現状6325人体制を自然減で20年度5000人体制まで圧縮する考えを明示した。MRを含む営業体制について石崎芳明営業本部長は、「地域包括ケアシステムの進展を睨みながら、エリアマーケティングを推進し、地域単位のプロモーション戦略を重視する」との考えを表明した。
◎MRは販路別に役割の見直しに着手
石崎営業本部長は今後の営業体制について、「MRの再定義に取り掛かっているところ」と説明した上で、「販路別に、大学、病院、開業医担当者の役割の見直しに着手している」ことを明らかにした。またプロモーション戦略についても、これまでの本社一律の戦略方針ではなく、地域で戦略を組み立てるようなスキームに見直している」と説明した。これによりエリアごとに最適な戦略を実行し、生産性を上げていきたいとの見解を示した。
また今後の流通政策に触れ、「地域で医療を完結するためには特約店の機能が中心になる」と指摘。「我々の製品がどうやって地域包括ケアシステムの中で生き残っていけるかについて考えなければいけない。特約店との連携をどう構築するかについて、地域ごとに話し合っているところだ」と説明した。
◎コンパクトな組織体制の構築で20年度までに1000人規模の自然減見込む
三津家社長は業務生産性改革の今後の進め方について、国内連結6325人体制(3月末時点)を2020年度には5000人体制とする方針を示した。すでに同社は早期希望退職者制度を実施しているが、今後について三津家社長は、「業務の削減、重複機能の見直しなどを進め、コンパクトな組織体制を構築する」と述べたが、あくまで「自然減」で対応する考えを表明した。ただ米国とアジアについては、事業拡大のための人的リソースの強化を行う方針も示した。
【15年度連結業績 (前年同期比)16年度予想 ※IFRS(前年同期比)】
売上高 4317億円(4.0%増) 4065億円(4.5%減)
営業利益 949億円(41.4%増) 755(8.0%減)
純利益 564億円(42.9%増) 570億円(4.2%減)
※同社は17年3月期第1四半期連結会計期間より、日本基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を任意適用した。このため、連結通期予想はIFRSに準拠した数値を表示している。
【15年度の国内主要製品売上高(前年同期実績)16年度予想、億円】
レミケード 694(706)625
タリオン 169(160)173
セレジスト 142(157)123
メインテート 135(141)107
シンポニー 129(105)234
テネリア(新)105(非開示)175
レクサプロ 95(80)126
クレメジン 93(105)73
ウルソ 82(100)68
デパス 73(81)62
アンプラーグ 64(83)‐
ラジカット 73(74)58
ワクチン計 391(303)336
内、インフルエンザ 138(74)111
内、テトラビック 95(75)86
内、水痘ワクチン 64(72)55
内、ミールビック 50(40)‐
田辺製薬販売取扱品(ジェネリックなど)138(136)143
【その他】
ロイヤリティ収入等 920(604)‐
内、ジレニア ロイヤリティ 517(439)非開示
内、インヴォカナ ロイヤリティ 206(98)非開示
※テネリアは昨年10月から、第一三共との共同販売から、第一三共の単独販売となり、田辺三菱がコ・プロすることになった。そのため、第一三共への販売額と同社から受け取るプロモーションフィーを合算して計上する形で開示されることになった。