ダボス会議で英専門委 耐性菌との闘いを宣言
公開日時 2016/01/29 03:50
英国の抗菌剤耐性専門委員会(Review on Antimicrobial Resistance:RAR)は1月21日、スイスで開催されたダボス会議(世界経済フォーラム)で、薬剤耐性菌との闘いに一致団結して対処することを求める「抗菌剤耐性との闘いに関する医薬品・バイオテクノロジーおよび診断薬業界による宣言」(Pharmaceutical, Biotechnology and Diagnostics Industries on Combating Antimicrobial Resistance)を発表した。
同宣言は、18か国の製薬、診断薬およびバイオテクノロジー企業、ならびに9つの業界団体が起草、合意および調印を行った。
宣言では、製薬企業等は、政府に対して、企業とともにより信頼のおける、かつ持続可能な抗生物質市場モデルの構築やそれに対する投資に取り組むことを求めた。このメカニズムは、新たな抗生物質の発見および開発という技術的かつ科学的挑戦を可能とするR&D投資への適切なインセンティブをもたらす必要がある。このことは、抗生物質のもたらす便益を反映するために企業には適正な価格を保障し、抗生物質販売の採算性と数量追求との相関関係を少なくする新規の報酬モデルの構築も含んでいる。これらモデルには、企業による販促活動を減らす必要性も考慮されている。
また、同宣言は、薬剤耐性を減少させる方策として、WHO(世界保健機関)の抗菌剤耐性についてのグローバルアクションプランや現場の医師の教育などを通して、新規および既存の抗生物質の適正使用に取り組む決意を示した。
新規抗生物質、診断薬およびワクチンなどのR&D投資増加のためには、企業は、この分野のR&Dがどのように行われなければならないか、また、抗生物質発見における克服すべき障害を取り除くために業界、学会、公的団体は、持続的に協力して取り組まなければならないと指摘している。
さらに、既存の抗生物質やワクチンへの患者アクセスには格差が生じている観点から、関係者一同は、世界のあらゆる地域で、それを必要とする患者には、手ごろな価格でアクセスできることを保障するイニシアチブに取り組むとの決意も示した。
RAR(本部・英国ロンドン)は、英国首相の委託、保健省の支援を受け、薬剤耐性菌に関わる諸問題の調査・研究・分析・政策提言などを行っている非営利団体。The Wellcome Trustが資金面での支援を行っている。