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【ERS特別版】ブデソニド/ホルモテロール配合剤 中等症から最重症のCOPD患者で有意な肺機能改善と増悪抑制効果示す

公開日時 2012/09/10 06:30

増悪歴のある中等症以上のCOPD患者において、吸入ステロイド薬(ブデソニド160 ug)/長時間作用性β2刺激薬(ホルモテロール4.5 ug)配合剤、1回2吸入1日2回と、ホルモテロール単剤(4.5 ug)、1回2吸入1日2回の有効性および忍容性を比較検討した第III相無作為化二重盲検実薬対照の国際共同試験の結果、単剤に比べ配合剤での治療群の方が、気管支拡張薬吸入前1秒量(FEV1)のベースラインからの改善が有意に大きいことがわかった。最初の増悪までの時間や増悪回数における改善効果も配合剤で有意に優れていて、忍容性も良好であることが明らかになった。9月1~5日までオーストリア・ウィーンで開催された欧州呼吸器学会(ERS)のポスターセッションで、東北大学大学院医学系研究科 内科学講座・呼吸器内科学分野教授の一ノ瀬正和氏らの研究グループが、3日に発表した。


同試験は、中等症以上のCOPDを2年以上患う40歳以上の日本人を含む1293例が参加。気管支拡張薬吸入後の1秒率(FEV1/FVC)が70%未満で中等症から最重症のCOPD患者で、試験参加前の12カ月間に最低1回以上増悪したことがあり、現在10パック・年以上の喫煙量があるか、同量の喫煙歴があること、などが主な参加基準であった。


ブデソニド/ホルモテロール配合剤(160/4.5 ug、1回2吸入1日2回)の被験者群(636例)か、ホルモテロール単剤(4.5 ug、1回2吸入1日2回)の被験者群(657例)に無作為に割り付け、12週間治療した。発作発現時は、サルブタモールを頓用することとした。


主要評価項目は、気管支拡張薬吸入前FEV1のベースラインからの平均的変化とし、副次評価項目には、吸入から1時間後のFEV1と、吸入前および吸入から1時間後の努力肺活量(FVC)、COPDの症状(息切れ、咳、症状による夜間覚醒)、最初の増悪までの時間、増悪回数、St George呼吸器質問票(SGRQ)による健康関連のQOL、朝と夜の最大呼気流量(PEF)に設定した。


また安全性評価項目には、有害事象の報告、臨床検査値、ECG、バイタルサインを設けた。


ベースラインの患者特性は、平均年齢が配合剤群64.5歳、単剤群65.6歳、65歳以上の割合はそれぞれ51.4%、54.2%、アジア人種53.9%、55.7%、平均罹患期間5.6年、5.8年、現喫煙者33.8%、34.2%、吸入前の平均%1秒量(%FEV1)は36.2% 、36.3%、吸入後のFVCは2.58、2.56、1年間の平均増悪回数は両群とも1.5回などで群間差はなく、この他の特性においても、両群は同等であった。


試験の結果、気管支拡張薬吸入前FEV1のベースラインからの変化は、配合剤群と単剤群の両群で改善していたが(配合剤群4.6%、単剤群1.5%)、改善の度合いは、配合剤群が単剤群よりも有意に上回っていた(配合剤群:単剤群比 1.032、95% CI: 1.013 – 1.052、p=0.0011)。


配合剤群では、吸入後1時間のFEV1の増加が、単剤群よりも2.6%有意に高く(配合剤群:単剤群比 1.026、95% CI: 1.010 – 1.043、p=0.0019)、この他、吸入後1時間のFVC(配合剤群:単剤群比1.016、95% CI: 1.001 – 1.032、p=0.0337)や、朝のPEF(絶対差9.6、95% CI: 5.9 – 13.2、p<0.0001)、夜のPEF(絶対差8.4、95% CI: 4.7 – 12.1、p<0.0001)、夜間覚醒(絶対差-0.06、95% CI: -0.13 – 0.00、p=0.0491)、症状スコア(絶対差-0.21、95% CI: -0.37 – 0.05、p=0.0118)、SGRQ総スコア(絶対差-1.60、95% CI: -3.08 – -0.11、p=0.035)を始めとする複数の副次評価項目で、配合剤群は単剤群よりも有意に高い改善を示した。


また配合剤群は、単剤群と比べて最初の増悪までの時間を有意に延長し、相対リスクを32%減少させるとともに(ハザード比0.679、95% CI: 0.508 – 0.909、p=0.0094)、増悪回数においても有意に減少させていた(ハザード比0.638、95% CI: 0.493 – 0.826、p=0.0006)。


最も多く発生した有害事象は、COPD(配合剤群8.0%、単剤群9.4%)、鼻咽頭炎(5.5%、4.9%)、気管支炎(2.0%、2.3%)で、両群で同等だった。


これらの結果から研究グループは、中等症以上のCOPD患者において、ブデソニド/ホルモテロール配合剤(160/4.5 ug、1回2吸入1日2回)は、ホルモテロール単剤(4.5 ug、1回2吸入1日2回)よりも肺機能の向上効果やと増悪抑制効果に関し有意に優れており、忍容性も良好だったと結論した。


◎「従来薬との比較で大幅な呼吸機能の改善と増悪が減少」 一ノ瀬氏


研究発表者の一ノ瀬正和氏は、ブデソニド/ホルモテロール配合剤が現行ガイドラインのファーストライン治療(ホルモテロール)との比較で大幅な呼吸機能の改善と増悪減少が示されたことは目覚しい結果であり、同研究から、今後のCOPD管理における治療の幅が広がることが期待できるとコメントした。


 

 

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