【ATS特別版】ブデソニド COPD患者の肺炎リスクに関連なし
公開日時 2012/05/23 06:48
カナダBritish Columbia大のDD Sin氏らの研究グループが、吸入ステロイド薬に関する最新の臨床試験を含む8試験をメタ解析したところ、ブデソニドはCOPD患者の肺炎リスクを上昇させないことが分かった。米国胸部学会(ATS)年次学会(米国カリフォルニア州サンフランシスコで5月18~23日開催)の21日のポスターセッションで発表した。
吸入ステロイド薬がCOPD患者の肺炎リスクを増加させるのではないかと懸念されているが、同研究グループが2009年に報告した7つの臨床試験に基づいたメタ解析では、ブデソニドを使用するCOPD患者において肺炎リスクは上昇しないことが報告されている。今回の報告は、最近新たに報告された試験を追加し、8つの試験データを解析した結果である。
これらの8つの試験は、試験期間が最低6ヶ月以上で、ブデソニド単剤もしくはブデソニド/ホルモテロール配合剤を使用する患者群と、対照群として吸入ステロイド薬を使用しない患者群とを比較検討した二重盲検試験である。有害事象(AE)及び重篤な有害事象(SAE)の追跡として、最低3カ月毎に定期的に肺炎の発症状況を記録した。ブデソニドの吸入量は1日当たり320μgもしくは640 μg、1280 μgであった。
被験者はFEV1(1秒量)/ FVC(努力肺活量)が<0.7のCOPD患者で、1つの試験を除き、喫煙歴が≥10パック・年であった。
被験者数は合計8260例で、うち4616例がブデソニド群(単剤またはホルモテロールとの配合剤)、3644例が対照群。患者背景に群間差はなかった。
解析の結果、ブデソニド群と対照群との間には、12ヶ月間の治療期間中において、AEとして発生した肺炎リスクに有意差はないことが明らかになった(ブデソニド群3.9%、対照群3.3%)。ブデソニド群のハザード比は1.12(95% CI: 0.89-1.42)で、SAEとして発生した肺炎のハザード比は1.01(95% CI: 0.72 – 1.42)。肺炎発生までの時間についても、AE及びSAEのどちらも群間差はなかった(それぞれp=0.30、p=0.926)。
ブデソニドとホルモテロール配合剤(pMDI)を使用した3つの試験を解析した結果、高用量群と低用量群とで肺炎リスクは変わらないことがわかった。
これらの結果から研究グループは、最新のメタ解析の結果からは、以前の解析結果と同様、ブデソニド(吸入量320 - 1280 μg/日)によってCOPD患者の肺炎リスクは上昇しない、との結論が導かれた。