薬食審・第二部会 新薬など7成分審議、承認了承 新規前立腺がん治療薬も
公開日時 2012/04/20 04:01
厚生労働省の薬食審医薬品第二部会は4月19日、新薬など7成分を審議し、いずれも承認を了承した。 この中には、アステラス製薬の新規前立腺がん治療薬やポリオの不活化ワクチンなどがある。
ポリオ不活化ワクチンは2月にサノフィパスツールが承認申請していたもので、異例の速さで承認の見通しとなった。現在の生ワクチンの接種では、ごくまれに発症するポリオを起こすことがあることから接種を控える動きが広まっており、厚労相は不活化ワクチンを秋に接種できるよう指示している。そのため同剤より先に申請されている4種混合ワクチンとともに迅速審査が進められているが、サノフィの単独ワクチンは海外86カ国で承認され、長年の使用実績があることから先に部会に上程された。同省は、両ワクチンとも秋接種に間に合わせる方針だ。
【審議品目】
▽ゴナックス皮下注80mg、同120mg(一般名:デガレリクス酢酸塩、会社名:アステラス製薬):「前立腺がん」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。海外55カ国で承認済。
腫瘍の増殖を促す男性ホルモンのテストステロンの産生を低下させ、腫瘍の増殖を抑えるとされる。テストステロンの産生に関わるGnRH受容体へのGnRHホルモンの結合を阻害するGnRH受容体拮抗薬。4週に1回投与する。同省によると、類薬のリュープロレリン(LH-RH誘導体)とは非劣勢。
同剤は、編集部が作成した「もうすぐ新薬!誰よりも先にMRが知っておきたいマメ知識」で、より詳しい情報を提供しています。
▽サレドカプセル50、同100(サリドマイド、藤本製薬):「らい性結節性紅斑」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間10年。オーファン。海外承認なし(同一成分別製剤ではあり)。
▽ナゾネックス点鼻液50μg56噴霧用、同112噴霧用(モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物、MSD):アレルギー性鼻炎の「小児用量」を追加する新用量医薬品。再審査期間は残余(平成28年7月15日まで)。海外では131の国・地域で承認済。
▽フィニバックス点滴静注用0.25g、同0.5g、キット点滴静注用0.25g(ドリペネム水和物、塩野義製薬):「化膿性髄膜炎」の効能・効能を追加し、これまでの効能・効果を含めて「小児用量」を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間4年。海外では83カ国で承認済。
▽コルベット錠25mg(イグラチモド、富山化学)、ケアラム錠25mg(同、エーザイ):「関節リウマチ」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。海外承認なし(同一成分別製剤ではあり)。
炎症を起こす原因と考えられる免疫異常などをコントロールすることで効果を発揮すると考えられ、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)と呼ばれる薬剤。治験では、メトトレキサート(MTX)による治療で効果不十分な患者を対象に治験を実施し、MTX 単独群に比べて、統計学的有意差をもってMTX 上乗せ使用時の有効性を確認している。
▽エジュラント錠25mg(リルピビリン塩酸塩、ヤンセンファーマ):「HIV-1感染症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間10年。オーファン。海外では32カ国で承認済。
▽イモバックスポリオ皮下注(不活化ポリオワクチン、サノフィパスツール):「急性灰白髄炎(ポリオ)」の予防を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。海外86カ国で承認済。
現在使われているジフテリア、百日咳、破傷風の3種混合ワクチンと併せて使用する。これとは別に他社が、不活化ポリオを加えた4種混合ワクチンが開発されているが、3種混合を接種している患者には4種は接種できないため、単独ワクチンが必要になる。
【報告品目】
▽タイロゲン筋注用0.9mg(ヒトチロトロピンアルファ遺伝子組換え、佐藤製薬):「分化型甲状腺がんで甲状腺全摘または準全摘術を施行された遠隔転移を認めない患者における残存甲状腺組織の放射線ヨウ素によるアブレーションの補助」の効能・効果を追加する新効能医薬品。再審査期間は残余(平成30年10月15日まで)。
同剤は省内検討会議で、学会などから求められた適応が医療上の必要性が高いと判断され、同省がメーカーに開発要請していたもの。
▽ビクシリン注射用0.25g、同0.5g、同1g、同2g(アンピシトリンナトリウム、MeijiSeikaファルマ):適応菌種に「リステリア・モノサイトゲネス」を追加し、「小児及び新生児用量」を追加する新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。
同剤は省内検討会議で、学会などから求められた適応が医療上の必要性が高いと判断され、同省がメーカーに開発要請し、公知申請されていたもの。特例により今回追加された適応は既に保険適用されている。
抗菌剤リネゾリドの小児適応の公知申請を了承 保険適用に
19日の部会では、抗菌剤リネゾリドの承認適応の公知申請が了承された。同省の特例により、これら適応症は半年程度かかる正式承認を待たずして、公的健康保険を適用された。
▽ザイボックス錠ほか(リネゾリド、ファイザー):追加適応「小児用法・用量の追加」