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INR値 変動念頭に抜歯当日の測定を

公開日時 2011/01/27 04:00

 

 

吉川氏

 

九州医療センターの歯科口腔外科には2009年、ワルファリン服用中で抜歯などを受けた結果、出血が止まらなくなった症例が3症例搬送されてきた。このような“出血が止まらなくなる”事例を防ぐには何が必要なのか。九州医療センター歯科口腔外科の吉川博政氏の報告を紹介する。

 

 

 

 

 

 

 

 

抜歯吉川氏は、INR(プロトロンビン時間)が治療域にコントロールされている患者では、ワルファリンの投与を継続しても抜歯を安全にできるか検討する目的で、レトロスペクティブな解析を行った。
 

対象は、2000年1月~09年12月までの9年間に同施設で抜歯を受けたワルファリン服用患者で、INR値の評価を行った249例525歯。このうち、抜歯時のワルファリン継続投与が推奨される以前の55例110歯(2000~03年:以下2004年以前群)と、推奨以降の194例415歯(2004年~:以下2004年以降群)の2群に分け、抜歯後の出血頻度などを比較した。
 

その結果、抜歯後に出血を起こした症例は、2004年以前群の5.5%(3例/55例)に対し、2004年以降群では1.6%(3例/194例)で有意な増加はみられず、むしろ減少傾向がみられた。なお、平均INR値は抜歯前、抜歯後ともに2004年以前群と比べ2004年以降群で有意に増加していた。
 

吉川氏はこの結果から「INRが1.6~3.0にコントロールされている患者では、ワルファリン継続下での抜歯は問題ない」と結論付けた。
 

その上で、同施設に“出血が止まらない”と搬送された3症例は、いずれもINR値を測定せず処置をしてしまっていたことも説明。「通常一般歯科医院では抜歯を行う際、血液検査は行わない」と指摘した。その上で、「INR値は変動するので、抜歯当日に必ずINRを測定し、抗凝固効果を把握してから抜歯を行うべき」とし、主治医と歯科医との連携の重要性を強調した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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