RE-LYサブ解析 脳卒中、TIA既往心房細動患者対象でダビガトランの効果は?
公開日時 2010/12/21 03:58
脳卒中もしくは一過性脳虚血発作(TIA)の既往歴がある心房細動患者を対象に、抗凝固薬・ダビガトラン エテキシラートの効果を検討したところ、脳卒中・全身性塞栓症の発症抑制効果は2用量(110mg、150mg)ともにワルファリンと同等であることが分かった。またダビガトランによるほとんどの効果は、これら疾患歴の有無に関わらず一貫していたこともわかった。心房細動で脳卒中リスクが高い被験者において、ダビガトランの2用量(110mgと150mg)とワルファリンを比較検討したRE-LY試験のサブグループ解析の結果として報告された。独・University Hospital EssenのHans-Christoph Diener氏らの研究グループが、学術誌「Lancet Neural」11月8日のオンライン版で報告した。
RE-LY試験は、44カ国967施設の被験者1万8113人を①ダビガトラン110mg群②ダビガトラン150mg群③ワルファリン群――に割り付け、治療効果を比較したもの。主要評価項目は、脳卒中または全身性塞栓症の発生率。観察期間は、約2年間。すでに報告された主要評価項目では、ダビガトラン2用量ともにワルファリン群への非劣性が証明された。
このうち、あらかじめ予定されたサブグループ解析として、脳卒中もしくはTIAの既往があった患者を対象にした解析を実施。主要評価項目の発生率は、ワルファリン群の2.78%/年に対し、ダビガトラン110mg群は2.32%/年(RR 0.84, 95%CI: 0.58-1.20)、150mg群が2.07%/年(RR 0.75, 95%CI: 0.52-1.08)で、有意差はなかった(110mg: p=0.62, 150mg: p=0.34)。また、虚血性または原因不明の脳卒中と障害的、致死的脳卒中の発生率においても、両群ともワルファリン群と有意差はなかった。
一方、頭蓋内出血は、ダビガトランの両群ともワルファリン群より有意に低く、110mg群は、大出血のリスクもワルファリン群よりも有意に低かった(RR 0.66, 95%CI: 0.48-0.90)。一方で、150mg群は大出血については同等のリスクであった(RR 1.01, 95%CI: 0.77-1.34)。
また、脳卒中またはTIA疾患歴のあるサブ群と、これらの疾患歴のない被験者との交互作用分析では、血管死以外のすべての主要、副次評価項目において有意差は見られなかった。血管死は、110mg群で疾患歴のあるサブ群が1.90%/年に対し、疾患歴のない被験者は2.56%/年だった(P値=0.038)。