【ESMOリポート】第8回患者セミナー開催 がん対策に患者関与強める動き
公開日時 2010/10/13 06:00
最新の臨床試験結果などが報告されるESMO(欧州臨床腫瘍学会議)では、8回目となる患者セミナーが10月9と10の2日間、イタリア・ミラノの同会議会場内で、欧州の患者会のほか日本を含む世界の患者会関係者が参加して開催された。日本では、患者やその支援団体と学会や政治との協力関係づくりは緒についたばかりだが、欧州では欧州議会との協力関係づくりが進展するなど政治、政策への関与も積極的に行われている様子がうかがわれ、さらなる活動強化の必要性を強調された。
患者会活動のあり方について1日目に取り上げられた。活動強化の必要性の背景として、登壇者からは患者の受ける利益が主要国と東欧などと格差が出ていることが挙げられ、国際間格差にも警戒感が示された。
それに対し、複数の登壇者から議会への働きかけ、予防予算の獲得の必要性、生存率改善に伴うリハビリテーションなど生活支援施策の拡充、欧州間での医療・治療・研究情報を共有する必要性が指摘された。
独の白血病患者団体のJan Geissler氏は、治験への参加について触れ、「我々はモルモットではなく、(患者会としても)研究の価値を説明し、よりよい治療をより早く提供していくために、我々が参加していく必要性がある」と呼びかけ、未来の患者を助けるのも患者会の活動の一つとして位置付けた。
対策づくりについては、「患者だけが知るニーズがある」として、患者会独自の視点で働きかけ「私たちなしでは私たちのことは何も決められない」との当事者性を強めることを求め、取り組みはがん種の枠を超えて団結して行う必要性を強調した。