【ESMOリポート】レゴラフェニブ 進行大腸がん患者のK-ras変異の有無に依存せず効果
公開日時 2010/10/13 06:00
腫瘍の血管新生阻害作用や腫瘍増殖因子を阻害する作用を持つとみられ、新しい経口分子標的治療薬として治験中のレゴラフェニブが、進行大腸がん患者において、薬剤によっては効果を減弱することもあるK-ras遺伝子の変異の有無とは関係なく、効果が示されるとの分析結果が10月10日(現地時間)、イタリア・ミラノで開催された第35回欧州臨床腫瘍学会議(ESMO)で報告された。
結果は、ポスターセッションで発表された。これは同剤のフェーズ1の中で38人の患者を対象に分析されたもの。その中で、患者のK-rasの変異の有無と、個々の患者の無増悪生存期間(PFS)との関係を評価したところ、K-rasの変異の有無はPFSの結果を左右していなかった。K-rasの変異がない患者を選んで投与する必要性のある薬剤がある中で、同剤のこの結果は、治療の新たな選択肢になる可能性があることを示唆した。
レゴラフェニブは、腫瘍の血管新生に関わるVEGFR、TIE-2を標的にするほか、腫瘍増殖に関わるRAFなどにも阻害作用を持つとされる。独バイエルが開発を手がけ、開発コードは「BAY73-4506」。進行大腸がんの適応では海外でフェーズ3が行われている。日本では固形がんを想定しフェーズ1の段階にある。