リラグルチド投与下での収縮期血圧の低下 降圧薬の併用とは独立したもの
公開日時 2010/06/30 04:00
GLP-1受容体作動薬のリラグルチドに、降圧薬とは独立した収縮期血圧の低下効果があることが分かった。米国のVivian Fonseca氏が第70回米国糖尿病学会議(ADA)で6月28日に開かれたセッション「Cardiovascular Complications of Diabetes」で試験結果を報告した。(6月28日 米国・オーランド発 望月 英梨)
解析は、リラグルチドの有効性・安全性を検討する一連の臨床試験である「LEAD」に組み込まれた6本の臨床試験に組み込まれた被験者を対象に行われたメタ解析。これらの6試験で共通の有効性評価項目として、HbA1cやHbA1cの目標達成率、体重に加え、収縮期、拡張期血圧の項目がある。試験では、測定の少なくとも30分前にカフェインの摂取や喫煙、運動を禁止。最初の血圧測定前の少なくとも5分前に座り、座位で足を組まず、背中と腕を固定して測定した。
▽リラグルチド1.8mg投与群1363人▽リラグルチド1.2mg投与群896人▽プラセボ群524人――の3群に分け、解析した。解析は、前治療歴や高血圧治療薬の有無などを補正し、ANCOVA解析を用いて行った。
その結果、収縮期血圧の変化率は、プラセボ群に比べ、リラグルチド1.2mg群(P値<0.024)1.8mg群(P値<0.0005)ともに有意に血圧を低下させた。
エナラプリルやアムロジピンなどの降圧薬の有無に分けて、収縮期血圧値との関連性をみると、降圧薬を併用していない群では1.2mg、1.8mgともにプラセボ群に比べ、大きく血圧値を低下させ、1.8mg群では有意に血圧値を低下させた(P値<0.05)。さらに降圧薬を併用している群では、1.2mg群(P値<0.0124)、1.8mg群(P値<0.015)、ともに有意に血圧を低下させていた。
これらの結果から、Fonseca氏は「リラグルチド投与下の収縮期血圧の低下は、降圧薬の併用とは独立したもの」と結論づけている。