スイスに本部を置く国際学術団体「Residual Risk Reduction Initiative (R3i)」はアトランタで開催中の米国心臓病学会(ACC)で発表されたACCORD Lipid試験の結果を受けてアテローム性脂質異常を有する2型糖尿病患者での心血管イベント発症リスク軽減効果の検証のため、R3i主導の国際臨床試験「REALIST」で詳細な検討を行っていく方針を明らかにした。
既にニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンで試験結果の概要が公表されていたACCORD試験では、アテローム性脂質異常を有する2型糖尿病患者では、そうでない患者と比べ、心血管イベント発症リスクが70%以上高いことが明らかになっており、こうした患者群ではフェノフィブラートの上乗せ効果が認められた。
ただ、ACCORD試験では、アテローム性脂質異常を背景に持つ患者は被験者の17%に過ぎず、何らかの推奨を発表するには必ずしも十分な症例数ではないため、ハーバード大学を中心に20施設が参加するREALIST試験での検証が必要と判断した。
また、R3i代表を務めるリール・パスツール研究所のJean-Charles Fruchart教授はREALIST試験での検討と並行して、過去の複数のフェノフィブラート投与試験で、アテローム性脂質異常を有する患者群のメタ解析を新たに開始する方針を明らかにした。
一方、R3i事務局長のMichel Hermans氏は、ACCORD試験ではフェノフィブラートの投与により、糖尿病性腎症のマーカーとなる蛋白尿の減少が認められたとし、「糖尿病患者で腎症管理は主要な問題であり、この新たな知見は非常に重要な意味を持っている」との見解を示している。