広重の「東海道五十三次」には手本となった絵があった
公開日時 2010/01/28 00:00
定説への挑戦MRが、長らく定説とされてきたMR活動のあり方に異議を呈するには、勇気が必要である。しかし、仕事であれ、趣味の世界であれ、定説への挑戦が知的興奮を呼び起こすことは間違いない。広重の秘密古き日本への郷愁をかき立てる、あの歌川(安藤)広重の浮世絵「東海道五十三次」が、広重のオリジナルではなく、広重より50年前の画家・司馬江漢(こうかん)の画集「春波楼画譜」を手本にして描かれたものだ、と突然言われて、素直に納得する日本人がいるだろうか。『広重「東海道五十三次」の秘密――新発見、その元絵は司馬江漢だった』(對中如雲著、NONBOOK・祥伝社)の内容は、緊迫感に満ちている。著者の主張を打ち破ろうとする読者にとっては、かなり手強い本である。己の主張に対する著者の自信のほどは、広重の絵55枚(...