エーザイ 血管塞栓療法用ビーズの開発へ
公開日時 2009/07/29 04:00
厚生労働省の検討会から日本国内への早期導入が求められていた、肝細胞がんの血管塞栓療法に主に用いるビーズを、エーザイが日本で開発することになった。このビーズは、腫瘍組織に対する栄養供給源となる血管を詰まらせ腫瘍組織を壊死させるうえ、抗がん剤を充填し徐放させる機能も持つ。同社が、このビーズを開発した英Biocompatibles社と日本で独占的に開発・販売できるライセンス契約を締結したことによるもので、7月28日に発表した。
血管塞栓療法に用いる製品は日本にあるが、Biocompatibles社が開発したビーズ(ポリビニルアルコールハイドロジェルマイクロスフィア)は、調製により抗がん剤をビーズに充填させ、薬剤を腫瘍組織に向けて徐放させることを容易にしたのが特徴。粒子の大きさは均一で最小で100マイクロメートルから数種類揃えており、塞栓対象の血管の大きさに応じて選択できる扱いやすさにも配慮されているという。
海外では、ビースは既に欧米を中心に40ヵ国以上で販売されている。日本への導入を担うことになったエーザイは、製品化のメドは明かしていないが、まずビーズの臨床開発を進める方針。薬剤充填済みの製品の開発も検討する。
エーザイによると、日本では肝細胞がんの患者総数は年間約6万7000人で、発症数では年間約4万人いると推定され、患者の約3割に抗がん剤を併用する肝動脈化学塞栓療法(TACE)が行われている。このビーズは、09年1月に開催された厚労省の「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」で、この製品の早期導入が求められていた。