【ASH速報】GAUSS 濾胞性非ホジキンリンパ腫の再燃患者でオビヌツズマブがリツキシマブより高い奏効示す可能性
公開日時 2011/12/15 06:00
CD20+緩慢性B細胞非ホジキンリンパ腫の再燃患者に対して、オビヌツズマブがリツキシマブに比べ、全奏効率(ORR)はオビヌツズマブの方が高い傾向を示すことが分かった。独立審査委員の解析では、オビヌツズマブの有意な有効性が示された。オビヌツズマブとリツキシマブとを比較検討したオープンラベル無作為化臨床第2相試験(P2)「GAUSS」の結果から分かった。同疾患について両薬を直接比較した試験はこれが始めて。カナダ、British Colombia大のLaurie Sehn氏が、米サンディエゴで開催中の第53回米国血液学会(ASH)年次学会のオーラルセッションで、12月12日発表した。
オビヌツズマブ(GA101)は、リンパ腫の顕著なバイオマーカーであるCD20を標的とする、新しいモノクローナル抗体。これまでの研究から、抗リンパ腫作用の可能性が示唆されてきた。
研究グループは、リツキシマブによる最後の療法に6カ月以上奏効していた、CD20+緩慢性B細胞非ホジキンリンパ腫の再燃患者175例(濾胞性149例、非濾胞性26例)を対象に、病期分類後に1:1の割合でリツキシマブ群かGA101群に無作為に割り付けた。導入療法としてリツキシマブ群には週1回375 mg/㎡を4投与(IV)、オビヌツズマブ群は週1回1000 mgを4投与(IV)与えた。
最後の投与から24~42日の間に再度病期判定をし、治療への奏効を調べた結果、進行が見られない被験者に対し、リツキシマブ群では375 mg/㎡を月2回 x 12投与、オビヌツズマブ群では1000 mgを月2回 x 12投与する維持療法を継続した。療法期間中は、3~6カ月ごとにCTスキャンを行い、奏効を観察した。観察期間は両群とも15カ月間(中央値)だった。
主要評価項目は、濾胞性被験者における導入療法へのORR(治験医師評価)とし、副次評価項目には、導入療法に対する完全奏功(CR)または未確定完全奏功(CRu)、導入または維持療法中に最も高かったORR、安全性などに設定した。なお安全性解析は、濾胞性、非濾胞性に関わらず最低1回以上治療を受けた被験者全員(リツキシマブ群:86例、オビヌツズマブ群:87例)を対象とした。
濾胞性の被験者では、リツキシマブ群に75例、オビヌツズマブ群に74例が割り付けられたが、維持療法を開始させたのはそれぞれ63例、62例で、このうちリツキシマブ群では25例、オビヌツズマブ群では28例が途中で治療を中止した。
◎Sehn氏「注入反応と咳を除き、忍容性は同等」
解析の結果、主要評価項目のORRは、リツキシマブ群が33.3%に対し、オビヌツズマブ群は44.8%と、GA101群で高い傾向が見られたが、統計的有意差は示されなかった(p=0.08)。一方、独立審査委員によるORRの評価は、それぞれ26.7%、44.6%で、有意にオビヌツズマブ群で良好な結果となった(p=0.01)。
ORRのうち、CRまたはCRuの達成率は、それぞれ5.3%と12.2%、部分奏効(PR)はそれぞれ28.0%と32.4%で、療法期間中に達成したORRで最も高かった数値は、それぞれ64.0%と66.2%(p=0.39)であった。
有害事象を少なくとも1つ以上発生させたのは、リツキシマブ群の81%、オビヌツズマブ群の群の93%だった。オビヌツズマブ群では、注入関連での反応(リツキシマブ群:51%、オビヌツズマブ群:74%)と咳(それぞれ6%、21%)が多い傾向にあった。グレード3/4の感染症と好中球減少症は両群とも同等に低かった。重篤な有害事象は両群とも14%だった。
これらの結果からSehn氏は、「オビヌツズマブはリツキシマブよりも高い奏効を示す傾向があり、注入反応と咳を除き、忍容性は同等であった」とまとめた。その上で、同試験の結果などを踏まえ、現在臨床第3相試験(P3)が進行中であると付け加えた。