【創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会 11月15日開催 議事要旨】
公開日時 2023/11/16 06:30
厚労省の「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」が11月15日、有識者検討会の議論を踏まえた薬事監視の向上と、我が国の薬事制度に関する海外への情報発信をテーマに議論した。本誌は議論の模様を議事要旨として公開する。
清田座長:事務局の説明に関しまして、先生方からご意見ご質問がございましたら、承りたいと思います。いかがでしょう、どうぞ。
芦田構成員:はい芦田です。いま説明がありましたように、PMDAがアメリカに事務所を設置して、活動を始めるということについて大変期待しております。この点について二つほどコメントというか、お願いをしたいと思います。
まず一点目です。アメリカの事務所に赴任される方々のマインドセットの切り替えです。あくまで私の想像ですが、PMDAの方々はこれまで、自らを売り込みに行くことは殆どなかったのではないかと思う。
これからはアメリカのベンチャー企業というか新興バイオファーマ(EBP)に日本の方に向いてもらわなきゃいけないということなりますので、受身でそういった企業が来るの待っているというより、むしろプロアクティブに出ていって、日本を売り込んで頂くということが必要になるのではないかと思います。そういう意味で、これまでとは180度違う形になりますので、そのマインドセットの切り替えが必要と思っています。
2点目です。もう一つはアメリカでドラッグ・ロスの原因になっているようなベンチャー企業というか、EBPの方々に、どんどん会って話を聞いていただきたい。確かにドラッグ・ロスの大きな要因が、アメリカのEBPがアメリカでは開発するけど、日本では開発しないということになっている。では、これまでEBPに、「なぜ日本に来ないのか」ということを直接会って話を聞いたことがどれくらいあるのかなというふうに思うのです。
6月に報告書がまとめられた有識者検討会でも、様々な製薬業界団体のお話をうかがいました。製薬協、PhRMA、EFPIAなどから話を伺いましたけれども、アメリカのEBPは、どの団体にも所属していない。だから直接そういった企業(EBP)の話を聞いたということはないと思います。そういうこともあって有識者検討会では、アメリカで基礎疾患を専門とするアミカスセラピューティクスの日本法人の方に来ていただいてお話をうかがうことができました。やはりメガファーマの話と違うお話が聞けたわけで良かったと思うのです。
ただし、アミカスセラピューティクスも日本法人を作って、すでに日本で(新薬を)開発しているわけですから、日本にある意味コミットされた会社だと思います。むしろこれから我々が直接話を聞かなきゃいけないと思っているのは、まだ日本に来ていない、日本を向いていない会社(EBP)ですので、アメリカに行かれた方々には、どしどしそういった企業に会っていただいて、彼らの考えを直接生の声をとして聞いていただくということが必要じゃないかなと思います。
今ここで議論されているような様々な対応についても、本当にどれだけ効果があるのかということについても、彼らに直接会って話を聞いて確認していただきたい。以上2点です。
清田座長:はい、ありがとうございました。この点につきまして、いかがでしょう。
事務局:医薬品審査管理課からコメントさせていただいて、必要があればPMDAから補足をいただければと思います。まず、マインドリセットについてはご指摘の点は非常に重要かと思っております。プロアクティブに積極的に外向けに情報発信し、相談に乗っていくという姿勢は非常に大事だと思っております。
海外についての対応はこれまであまり十分ではなかったのですけれども、国内の企業に対する対応としては薬事戦略相談とか、その後名称をレギュラートリーサイエンス相談に変えておりますけれども、ベンチャーも含めて、どのような開発を、どのような試験を実施していけばうまく薬事申請に結びつくかということを一緒に考えるといったような形の相談もこれまで取り組んできておりますので、一昔前のように申請されたものに“良い悪い”ということを出すだけではなく、相談に一緒に乗って一緒に考えていくということを、国内向けにこれまでもある程度やってきたかと思っております。
一方で日本に拠点がないような海外ベンチャーに対応していくということに関しては、これまで継続的な活動としてなされていなかったと思います。今回その点をしっかり強化していきたいと思っております。マインドを変えていくこと、その視点は非常に重要かなと思っております。それから、実際に海外のベンチャーなどEBPの声を聞くべしということも全くその通りかと思っております。
厚労省の職員も含めて国内に全く拠点を持たない企業の方々と日常的にお会いして話を聞く機会は、非常に少なかったのかなと思っております。海外のベンチャーといっても、日本に進出しているところとお話を伺う機会はありますけれども、全く我々が会社の名前も知らなかったような(EBP)とは、やはり話を聞く機会はなかったと思います。そういったところについては、日本で開発を進める上で何が支障になっているのか、どういった取り組みが有効であるか、というところで彼らの本音を聞くことが非常に大事かなと思っておりますので、いただいたご意見を踏まえてしっかり取り組んでいきたいと思っております。
中村構成員:中村でございます。今月の頭の事ですが、実はアメリカでACT 4 CHILDRENという半官半民で立ち上げた小児のネットワークのトップが変わったのです。その方は元々日本でグローバル企業の臨床開発をずっとやっていた方で、恐らくこの(参加者の)3分の2ぐらいの方は会ったことがある方です。その方が最初に言ったのが、やっぱり日本にベンチャー入ってきにくいよねと。そこを何とか支援できるといいね、ということです。
いま話を聞いて思ったのは、やっぱり日本で開発に関わったアメリカ人って、多分向こうに戻られた方もいると思うのです。そういう人たちって霞が関文学を理解しているんですよね。どうやったら本当に日本で開発が進むかということを分かっていて、それはお役人とは話さないけれども、開発の人同士ではこういうことだよとか説明できるので、ぜひそういった方々とコンタクトを取ってほしい。やっぱり日本に来たことがない人(EBP)に日本のことを説明するって難しいですよね。
日本人は全員朝飯に納豆を食ってるのかと平気で言われるので、そういった日本のことを知っている人にぜひ入っていただくのがよろしいかなと思います。もし必要であればそのネットワークの方もご紹介します。おそらく協力してくれると思います。
あとすいません。PMDAの米国事務所経費の補助率100分の50とは、残りは相談料か何かで賄うということなのでしょうか。資料6ページのバイオテックコンシェルジュ事業の拡充のところに何か半分しか出せないみたいなふうに書いてあるのですけど。
事務局:はい、国費が50%ということで、半分はPMDAの自主財源です。その原資は遡れば手数料も含むということだと思います。
中村構成員:あと、ベンチャーの人が日本に来て相談したときに、言葉がわからないって勘違いして帰ることがあると思うので、そこは間違いがないように是非マインドセットを変えるというのは非常に重要だと思います。よろしくお願いします。以上です。
清田座長:はいありがとうございます。他にどうぞ。
小川構成員:小川でございます。アメリカにPMDAの事務所を作っていただけるということで、本当にありがとうございます。本検討会の1回目、2回目でお話させていただいた「一度相談に来たのだけれども断念した」という海外のベンチャー企業がございました。実はその企業まだ諦めておりません。我々のところにコンタクトが最近ありまして、何とか日本にこれを入れたいのだけれどもどうしたらいいのかという相談を今月に入ってからまた受けたところです。
ですので、是非これが進むよう、私達もできる協力をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
1点だけ申し上げたいことがあります。日本が参照国になっているという「資料3」18ページ(日本が参照国制度等の対象になっている主要国・地域)のところですけれども、日本が参照国制度の対象になっている医薬品という形で挙げていただいておりますが、日本自体が治験をしなくて良いと思っているわけでは全くございませんけれども、FDA、EMAで承認をされている極めて数の少ない患者さんに対する医薬品に関しましては、日本も米国や、あるいは欧州を参照するということを少しご検討いただけるとありがたいと考えております。
事務局:はい、事務局からお答えさせていただきます。日本が他国を参照する制度というのは、例えばパンデミックのときのような特例承認という制度がございます。これは欧米のような先進国で既に承認されているものについて簡略的な承認の手続きで、日本に導入するというものでございます。ただ一方、平時の制度としては、その過去を参照するというものが現時点ではございません。
一方でこの検討会の中でドラッグ・ロス対策の観点からこれまでも様々な課題についてご検討いただいてまいりましたし、いま小川先生からご指摘のありました極めて患者数の少ないものについて、欧米で既にデータがあって承認されている場合、日本での治験がどの程度必要なのかといった議論については、一部他国の承認実績とか、データを参照するという考え方としてはあり得るのかなとは思っております。
今後、そのテーマを議論させていただく予定ですので、それも含めて実効性のある対策を進めていければなと思っております。以上です。
清田座長:はいありがとうございます。はいどうぞ。
中村構成員:度々すいません。この参照国制度ってここにも英語で同じのが載っているのですが、実際に日本のデータだけで承認されたケースはあるでしょうか。あるいはもう大半をFDAやEMAが既に審査していて、その審査報告書がある後に日本の審査報告書があっても、実質上はFDAとEMAの審査報告書だけで、ついでに日本のも見て承認みたいな、そんなふうにしかなってないのではないかと勘ぐってしまうのですけども。そこ辺りって実績として、どの程度参照されているか何かデータお持ちでしょうか?
事務局:事務局からお答えをいたします。具体的にこういう医薬品でこういうことがあったとか、件数として何件あったとかという情報は今持ち合わせておりません。色々な国で参照国制度があるのですが、日本だけを対象としているわけではなく、日本と並びで、アメリカとかEUとかが並んでいる中に日本も入っているというケースもございます。おっしゃる通りアメリカやEUの結果を参照して導入しているケースもそれは当然あるかと思っております。
清田座長:はい。はいどうぞ。
中村構成員:あと一つ、米国に事務所を作って話すときに、日本でどんな知見が必要かっていうようなご発言がさっきありましたけども、小児だとFDAとかEMAと定期的に会議をしているわけで、でもそこに審査チームが実際になかなか提案を上げてこなかったり、あるいは日本には守秘義務があるので日本は入れないとか、そういったことが大変だと聞いています。
そこのあたりまで踏み込んでFDAとかEMAに相談するときに、日本にも相談してよと、それだったらFDAやEMAと協調してできるだけ負担をかけないようにする。それぐらい踏み込んだことができるとベンチャーにとって魅力的かなと思う。実際の運用は難しいかもしれませんけど、ぜひご検討いただければと思います。
清田座長:はい、ありがとうございます。はいどうぞ。
事務局:今の中村先生のご質問についてのお答えです。資料18ページの右下に「医薬品簡略審査制度活用状況(ASEAN)」ということで記載がございます。特にタイとインドネシアとフィリピン、3品目、1品目、3品目ということがございますけれども、これについては日本の審査報告書を参照しています。アメリカとかヨーロッパのものを全く参照してないかどうかはわからないですが、少なくとも日本の審査報告書を参照しているというのがこちらの品目にございます。
あと、ここに記載してないのですが、台湾の場合は日本と台湾の間で新薬審査スキームというものがございまして、これについては日本の審査報告書のみで使えるというスキームになっていて、こちらについては4品目使われているという状況でございます。
清田座長:はいありがとうございます。他にご質問。はいどうぞ。
柳本構成員:PMDAの海外事務所は大変期待しております。芦田構成員がおっしゃった通り、現地でお話聞いていただければ出てくると思うのですけども、やはり多くのベンチャーは資金も人的なリソースも、グローバル展開のケイパビリティもないという中で、ベンチャーだけに働きかけても、実はそこの意思を持ったところでやりきる力がないというところがあるかなと思います。なので、そこを補完する資金ですとか、あとは実際に展開を導入も含めて担ってくれる製薬企業にも働きかけるとか、そういったところのニーズもしっかり汲み上げていただけるといいのかなと思います。
製薬企業の中には現地だけではなく日系企業も対象に入ってくると思いますので、そういったところへの働きかけですとかニーズを汲み上げ、汲み取りというとこも含めて広く御対応いただけるといいのかなと思ってお伺いしました。
清田座長:はい。ウェブからの質問が2名ございます。眞島構成員から伺います。
眞島構成員:はいありがとうございます。ワシントンD.C.にPMDAのオフィスが開くっていうのは大変嬉しい話だなと思って聞いておりました。それで企業の方がベンチャー系の方に、日本市場を訴えて日本市場にぜひ商品を持ってきてくださいっていう話をされるみたいですけども、ベンチャー系の企業にもいろいろあるかとは思うのですけど、大変難しいという話を聞いております。
先ほど中村先生の方からは、そう言っても、企業の中には日本市場に非常に興味あるところもあるというお話を聞いて、これは素晴らしいと思って聞いたんですけども、やはり先ほどお話が出ていますけどEMAやFDAと同時に、PMDAがそこにオフィスを開いて、同時に相談にのるような展開をしていかないと日本市場は本当にジャパン・パッシングが昔からありますけれども、なかなか日本を向いてくれないのではないかと我々も懸念しています。是非それは進めていただければなというふうに思います。
それで一つ質問です。日本市場で承認を得れば、先ほど参照国制度の話がありましたけれども、アジアで(道が)開けるのですよ。そういったようなスキームがあれば日本市場をまず最初に働きかけてくれんじゃないかなと思ってしまうのですけども。そういったことが実現可能なのかどうか教えていただければというふうに思います。お願いいたします。
清田座長:どなたがお答えしますか。
事務局:事務局からお答えいたします。FDAやEMAとの連携が非常に重要だというのは全くその通りかと思っております。先ほど中村構成員のご指摘にもFDAとEMAが実施しているクラスター、いろんなものが活動していると承知をしております。小児がどうだったかちょっと私知識としてありませんが、その一部には日本も参加しているというふうに聞いております。そういった形で引き続き欧米との連携は非常に重要かなと思っております。またPMDAの米国事務所はワシントンを候補地として検討されています。その理由はFDAとの連携強化という点も一つの要素として重視しているということがございます。
またEMAの方は、PMDAからリエゾンを派遣しておりまして、それぞれ当局との連携を強化するということは引き続き努めていきたいと思っております。
もう一点のご質問で、日本で承認された場合にアジアに導入がしやすくなるということで、結果として日本自体への海外製品の導入が進むということが期待されるのかどうかという質問ですけれども、まさにこのアジアでの取り組みの一つはそういった効果も期待しているというところであります。
今回の予算要求の中身の一つとして、資料7ページですけれども、先ほど二つの新しいことを申し上げたうちの一つは、WHOとの連携を強化するというところになります。これはまさにこの先進国で承認されたものを途上国が参照することによって、自国に導入していくという、そこをWHOが橋渡しするプログラムでございます。
このプログラムに日本が積極的に参照される側として関わってはこなかったのですが、ここについても今後取り組んでいきたいということで、まさにご指摘のようなことを実現できるよう目指していきたいと思っております。
清田座長:はい。よろしいでしょうか?はい。
眞島構成員:ありがとうございます。前回、備蓄の利かない医薬品に関しては安定供給の観点から国内での生産拠点の確保ということが重要で、海外企業に工場の誘致ができないかってお話をさせていただいたことがあったんですけれども、実は先週、ある企業(欧州系メガファーマ)が篠山工場に1000億円ほど段階的に投資をして、日本での医薬品の生産に乗り出すという報告がありました。皆さんにもそれをシェアさせていただきます私の方からは以上です。
清田座長:はい、ありがとうございました。もうひとかた中島構成員からご質問がございます。
中島構成員:はい、ありがとうございます。いま先ほどから話題になっているワシントンDCに今います。現在はISOの医療情報の標準化の会議が行われていまして、その中に沢山のワーキンググループあるのですが、私は2つのワーキングに参加しています。日本から出ているのは企業とアカデミアだけです。自分たちの開発品のISO化に興味があるということで出ているのですが、全部網羅しているわけじゃないです。他のグループがどれぐらい行政の方が参加しているか分からないが、少なくともこの二つのワーキングループだけでも、特に中国ですね。非常に優秀でしかも日本は私より年齢の高い人ばかりですけども、明らかに戦略的に自分たちで行くというよりは指示されて来ている感じですね。先ほどから情報発信だけでなく、プロアクティブに出て行ってコミュニケーションするということは非常に重要だと私も思います。
例えば今日なんかでも、会議が終わったらみんなでビールを飲んで話すというようなことをやっているのですね。そういうところからやっぱりいろんなことが生まれてくるのだろうというふうに思う。情報発信も含めてですね。決してISOに行かないといけないと言っているわけじゃなくて、例えば国連とかWHOというのは国がかなりの予算を出しているわけで、そういうところはちゃんと派遣しているというふうに思いますけども、ISOなんていうのは基本的には国際的にはボランティアでやっているわけですので、そういうところでかつ、創薬などで重要な会議体について、日本は予算化してないところに人を出してないのではないかと思う。
これは私の偏見かもしれないけど、そう思います。ただ一方で、中国のようなところは領地を取るかのように、どんどんどんどん進めていっている感じがして、そこのところはすごく先行き不安であるとともに日本からは若い人が来てくれず、中国はますます若い人がどんどん来て、どんどん経験を積んでいるということです。是非そこのあたりについて行政の考えをお聞きしたいと思います。
清田座長:お答えできますか。
事務局:事務局からお答えいたします。先生ご指摘の通り国際標準を戦略的に取っていくというのは非常に産業政策としては非常に重要なところだと思っております。ISOということであれば今ご紹介いただいた二つのワーキングが具体的に何を議論している場というのを把握しきれておりませんが、医療機器の分野では国際標準について積極的に活動するような取り組みも行っております。そういったものがまだまだ足りないというご指摘かと受け止めさせていただきましたが、重要性を認識した上で、可能な対応を行ってまいりたいと思っております。以上です。
清田座長:はいありがとうございます。
中島構成員:ありがとうございます。私が来ているのは医療機器のところですけども、残念ながら日本はあまり優勢ではないので、はいぜひこれからよろしくお願いします。
清田座長:ありがとうございます。はいどうぞ。
中村構成員:実は私も今月ワシントンにいっていました。クリティカルパスインスティチュートがやっていて、元々は新生児の国際コンソーシアムだったのですけども、今回はライソゾーム病とか1型糖尿病とか幾つかのワーキンググループが全部ごっちゃにしたサミットでした。残念ながらPMDAからは遠隔でお入りいただけただけで、現地でお会いいただけなかった。なぜかFDAのレギュレーターの中に1人私が入ってバイオマーカーの話を一生懸命しないといけないような状況になったのです。やっぱり非常に寂しいです。その場所はベンチャーの人がいっぱい来ているのですよね。
まさに、中島直樹構成員が言うように、会議にPC(オンライン)じゃなく対面(リアル)で会って、その後のネットワーキングで「日本でもできるんだね」と、「じゃあ日本でもやろうか」とかっていう話が出てくる。その意味でも、やっぱり規制当局の方にも出ていただきたい。
何かクリティカルパスインスティチュートは小児関係を日本でやりたいと言っていますので是非前向きに御検討いただければと思います。やっぱり日本のプレゼンスが上がらないとベンチャーも日本に入ってこないと思います。
清田座長:ありがとうございます。他に、どうぞ。
柏谷構成員:コメントとお願いがございます。コメントとしましては、ワシントンオフィスを開設して日本の薬事行政を世界に向けて発信していくというのはとても素晴らしい取り組みですので、推進いただきたいと考えております。
ただ、この検討会でも議論ありましたけれども、オーファン指定の件であるとかMRCT参画前の日本人P1の必要性というのは、これグローバル的に非常に注目度の高い制度改正ということになります。こちらのところも積極的にインプットはしていただくものと考えておりますけれども、やはりそれだけ注目度の高い通知等になりますので、行政側の工数不足等で蓋を開けてみたら何らかの制限がかかっていたり、実施には時間がかかるということであっては折角このような舞台を作っても結局無駄になってしまいますので、何とか工数不足によるような制限であるとか、着手遅れということは避けていただきたいと考えております。以上です。
清田座長:ありがとうございます。よろしいですか。
事務局:事務局からお答えします。ご指摘の通りこれまでこの検討会で様々なテーマをご議論いただいて、既に方向性をご了解いただいているものがいくつかございます。そういったものについて、通知等で明らかにしていくべく今作業しております。その作業は速やかに進めていきたいと思っております。
またそういった見直しの内容について海外に発信していくこともご指摘の通り非常に重要なだと思っております。単にアメリカにオフィスを作ればどんどん海外のベンチャーが来てくれるというわけではなく、様々な取り組みを複合的に組み合わせることでようやく成果に繋がっていくものだと思っております。ご指摘の点を踏まえて必要な取り組みを進めていきたいと思っております。
清田座長:はいありがとうございます。佐藤構成員どうぞ。
佐藤構成員:佐藤です。英語で日本の薬事の情報発信というのは非常に素晴らしいことだと思うのですけれども、今から申し上げることは国の仕事なのか薬事コンサルの仕事なのかっていうのはちょっとわからないのですが、日本の規制と海外の規制のギャップです。特定の国と日本の規制と比べて個別事項におけるギャップを明らかにして、何が追加的に実施されれば日本で開発できるかっていうことを、あらかじめ共有しておくと、相談対応とか、論点の整理しやすいのではないかと思うんです。
例えば資料6ページの分析みたいなところが令和6年度概算要求に計上されてないので、何かそういうのも考えていただいた方がいいのかもしれないと思います。ひょっとするとそれは薬事のコンサル会社の仕事なのかもしれなくて、その辺はどうお考えなのかなというところを確認したいです。
事務局:事務局からお答えいたします。医薬品に関する規制で言えばICH等の国際的なガイドラインを日本も導入をしておりますので、大きなところではそんなに違いはないというふうに理解をしております。その上でさらに違いがあるところという意味かと思いますけれども、例えば日米欧で比較したような資料、多分、民間の調査会社とかが作ったようなものは既にあるかもしれませんし、規制側の内部においても特定のトピックに関しては確認している部分もあるかと思っております。
海外のベンチャーが日本で開発を進めていく上で、そういったものがどれぐらい有用なのかというところは、まだ私も肌感覚としてわからない部分があるんですが、そこのニーズが高いということが前の意見でいただいた、海外のベンチャーの生の声を聞いたりとかを通じて、そういったニーズが高いということであれば、そういったものを作成していくということもあり得るのかなと思っています。今回の予算の中には様々な広告宣伝のための資料とか、そのための予算というのも積んでおります。ただ、具体的にどういった中身のものを作るかまでは、まだ特定しているわけではありません。そのあたりは確保できるリソースと、どういったものがニーズとして高いのかというところを、よく見ながら、進めていきたいと思っております。
佐藤構成員:ありがとうございます。ギャップについてさっきのベンチャーキャピタル(VC)の話もありましたけど、例えばVCもそうですし、それをベンチャーから引き継ぐ製薬会社もそうですし、あと各国でベンチャーからあてにされているコンサル会社とかと共有していただくと、何か話がうまく回るではないかなっていう気がします。ご検討よろしくお願いします。
清田座長:はい、ありがとうございます。どこまで国がやるのかって大変だと思います。どうぞ。
芦田構成員:別な話といいますか関連しているのですけど、参考資料の例えばMEDISOの説明のところで、海外のベンチャーからのコンタクトの実績もありますってさらっとおっしゃったんですけど、そこが具体的にどこまで支援できて、どこまで行ったのか、あるいはどこで止まったのか、何が駄目だったのか、という現状のスキームでどこまでうまくいってどこが駄目かというところの分析は必要かなと思います。
小川先生のお話を聞きながら私も何度か小さい会社に使ったことがございます。やっぱりPMDAにちょっと一度駄目って言われたと勘違いしたみたいなことってあるので、そこあたりがどういったふうに進んだかというのを、しっかり現状分析をした方がいいと思う。恐らく佐藤先生がおっしゃったとこと似たようなところだと思います。
事務局:事務局からお答えいたします。MEDISOで海外の企業に対する支援の結果としてどういう成果があったというところまではすいません今情報は把握しておりません。確認し、分析しておきたいと思います。ただ、先ほど年間200件ぐらい相談があると申し上げたのですが、海外からの相談はまだ件数としては非常に少ないというところもございます。
今後、薬事に関して情報発信していく中で、薬事に関する様々な相談には対応できてもそれ以外の薬事以外のことについては、PMDAのみで対応できない部分も出てまいりますのでそういったところは既存のMEDISOなどにうまく繋いでいくとか、そういうことによって包括的なサポートが実行可能ではないかと思っております。そういうところは我々も横の連携を強めていく必要があると非常に感じております。是非そういうことに注意して進めていきたいと思っております。
清田座長:よろしいでしょうか?どうぞ。
川上構成員:ちょっと別の話になるのですが、海外向けの情報発信が強化されることは大いにやっていただければいいかなと思うのですが、そのよくある誤解っていうのですかね、一方的な、ちょっと業界側からの見方みたいなところに凝り固まっている場合もあるので、何かそういうところには情報発信といっても単なるその制度の紹介というより、その誤解を少し解消するような説明もいいのかなと思います。
具体的には、自分は薬食審で承認の仕事もしていたのですけど、一方、中医協で薬価算定組織の仕事も10年ぐらいやっていたので、よく海外の方に薬事規制のことのみならず薬価のことなんかもよく聞かれるのです。
頑張って日本へ持っていっても結局類似薬と同じ値段しか初回収載時につきませんよねとか、その後、結局引き下げとか市場拡大再算定でどんどん下げていかれて、企業としての予見性がありませんよねと言われる。
中医協の薬価専門部会の業界ヒアリングの資料をそのまま英訳してそれをそのまま“日本の真実”だっていうふうに皆さん思われているようなところがある。それは一つの見方かもしれないけれども、実態はこうだよとか、制度はこうだとか、そうではないよとか、よく日本の薬事制度と薬価制度に関して誤解されている部分とをちゃんと紐解くような何か追加的な説明があってもいいかなと思うのですよね。
ですから、制度の紹介っていう意味での情報発信の強化のみならず、何か積極的な何か能動的な情報提供みたいなことも加えてやっていただくと、より日本のことを正確にご理解いただけるのかなという思い次第です。以上でございます。
清田座長:はい、ありがとうございます。難しいですね。
事務局:事務局からお答えします。ご指摘ありがとうございます。おっしゃる通り教科書的な一般的な情報発信だけではなくて、相手の誤解を解消する、あるいは相手が必要としている情報を的確に届けるような上手なコミュニケーションが求められるのかなと思っております。
そういうところはこれから新たに海外のベンチャーに対して様々な取り組みを始めていこうという段階ですので、いろいろ試行錯誤しながら、情報発信の最適な形みたいなのが作り上げられていくのかなというふうに思っております。ご指摘のような観点を留意しながら取り組んでまいりたいなと思っております。
特に日本の規制当局との関わりを持った一部の海外のベンチャーとかが悪い印象を持ったことが口コミで伝わって、それがかなり広がってしまうこともあるということを、これまでのヒアリングの中で聞いたこともあります。そういうところについてはまず全体的な日本の情報発信の量を上げていくことと、あと相手の誤解をうまく回収するような相手に響くようなコミュニケーションの取り方とか、そういったことは非常に大事かなと思っております。
清田座長:ありがとうございます。どうぞ。
事務局:PMDAの田宮です。いま川上構成員からのご指摘の関連です。「資料3」の4ページでございます。その右下のところにPMDAが作成した海外ベンチャー向けの国内開発紹介資料というのがございます。この中身でも、まさに先生ご指摘の通り薬事制度だけでなくて、例えば日本におけるその市場規模について、例えば特許のある新薬の市場であれば、全体の市場と違って、増加傾向にあるとか、あるいは税制優遇がどうなっているかとか、あるいは臨床研究中核病院がこういう活動をやっているとか、もちろん先ほどご紹介あったMEDISOとかそういった幅広く情報を入れておりますので、そういった様々な先ほど薬価制度のご指摘もありましたけれども、例えば、日本の場合は欧州などと違って承認されてから保険収載までの期間が非常に短いというところも一つ売りになろうかと思いますので、そういったことも含めて情報提供の資材を作成していければなというふうに思っています。
川上構成員:ちょうど読んできたのですけど、今の資料の体裁だと日本の魅力はパン、パン、パン、パンと、あちこちに散らばっていて、むしろ日本語で作った行政文書を英訳したものがバラバラって入っていて時たま新しいのが入っている状況だ。なので、日本に来たら“こんな良いことがあるよ”みたいな、ちょっとマーケティング的な宣伝も兼ねたような、何かそういった日本のメリットを2、3枚でパットと出すようなものを作ってあげるといいなと思います。
ちょっとこれを見て、これベンチャーのためって書いてあるのだけど、本当のベンチャーが知りたいことがもしかしたら書いてないかもというふうに思いました。中村先生そこはぜひサポートいただければと思います。
清田座長:他にどなたかご意見ありますでしょうか。はい、どうぞ。
永井構成員:武蔵野大学の永井です。米国事務所の設置、あともう一つはタイですか。事務所の設置はとても期待しています。派遣する人材的なことに関して中島構成員からお話があったことと関係するのですけれども、PMDAはしっかりと人事のキャリアパスを設定されているので、やっぱり今回の特に若手の背中、若手から中堅の背中をぜひ押していただいてこういうキャリアパスの中に、米国の事務所での勤務っていうのをしっかり位置づけて頂けたら良いですし、やっぱり若い人にどんどん外に出ていってもらって、一通りの審査、相談等の経験を積んだ人にどんどん出ていっていただくというのがいいのかなというふうに思います。
それからもう一つ。この資料の中には補助金等々で現地職員を採用するというところも書いてあるのですが、例えば事務をやる人だけ採用するのではなく、米国に留学しているような方々で例えば将来的には日本に戻るけれども、しばらくあちらで仕事をしてみたいという人たちにとっては、やっぱりPMDAの現地で働く仕事ができるというのも非常に魅力を感じるんじゃないかなというふうに思うので、例えば採用の上でもかなりこういう専門的なことを習得した現地の大学で、現地の米国とかを積極的に採用して、若い力でどんどんアメリカのこういうベンチャー市場とかにも出ていけるような体制にしていただけたらというふうに思いました。以上です。
清田座長:はいありがとうございます。ごもっともなことだろうというふうに思います。
中村構成員:ちょっと今日は喋りすぎですけど、中村です。日本のPMDAで審査しただけの人がアメリカに行っても多分、向こうの人間をちゃんと説得できる英語を喋れない。普段審査のときの面談でそんな日本語を使ってないし、審査報告書にもその辺を使っていません。それからアメリカに留学して短い日本人は多分無理だと思います。だから、そういった人を育てるのが大事だとおっしゃるのは非常に大事だと思うのですけど、ただ、例えば日本で開発の経験があり、PMDAで何度も面談したことがあるようなアメリカ人の少し年配の方も入れるとか、セットにして指導して、そこで日本的なPMDAマインドだけではうまくいかない、グローバルだったらどうだというところを理解してもらう必要があると思う。そこはぜひ混ぜることを考えていかないと無理だと思います。
清田座長:話が壮大になってまいりましたけど、医薬局長にご出席いただいてます。何か、ご意見いただければと思います。
城医薬局長:はい城でございます。まさにグローバルからどうやって日本に来てもらうかということが、有識者検討会をやっていた関係で、私も非常に問題意識が高いところの一つではあるが、今お話いただきましたように、どうやって日本に対して目を向けていないバイオベンチャーなど創薬に取り掛かっている方に目を向けてもらうか。彼らにとってはアメリカ市場が一番で、アメリカで成功すればそれで成功だ。そしてその次に当然世界市場から見ればEUに持っていってそれで世界の大半が抑えられる。しかも、自前で全部そこまでやる気はなく、どこかと提携してやろうと思っている。この人たちに日本市場に最初から手をつけておくと後々“お得だよ”、“会社や製品が高く売れるよ”こういうふうに持ってもらうためにどうするか。その足がかりになることの一つに、審査の体制の中身のやりにくさに対する誤解がまずあるだろう。まずこの誤解を解くところからやんなきゃ駄目だよねっていう発想だった。
まずはPMDAに実際にアメリカに出て行って直接話ができる、少なくともそこで日本の制度についてちゃんと間違いのない発信ができるというところから始めたい。実際、将来的には向こうでもっと手をつけても良いのですけど、PMDAは審査当局ですから、そこは誤解を招かないようにしつつ、他の政策も相まってというところで、今日のお話をしっかりと実現できればと思っております。
清田座長:ありがとうございます。各方面からですね実りのある話を伺えたと思います。大隊ご理解いただいたというふうに判断してよろしいですか。はい、ありがとうございます。活発なご議論をありがとうございました。