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麻生財務相がランセット誌に寄稿 UHCの促進に主導的役割果たす 

公開日時 2017/12/04 03:52

麻生財務相は12月2日付のランセット誌に、「UHC(ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ)達成のため財務省が果たす重要な役割」と題する論文を寄稿した。UHCの促進は、昨年5月のG7首脳会議で採択した「G7伊勢志摩首脳宣言」に明記されたもの。これを受け、日本政府もアジア・アフリカなど経済発展の早い地域や国に対し、資金・技術を提供する開発パートナーと連携し、UHCの達成・促進の両面から支援する方針を打ち出していた。麻生財務相は論文の中で、援助国の国内資金や外的な援助資金の活用に加え、「長期にわたり持続可能な保険財政の枠組み構築に各国の財務省が重要な役割を果たすべき」と提言した。


UHCとは、「すべての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる」ことを意味する。日本は1961年に国民皆保険制度を実現し、UHCを達成している。麻生財務相は論文の中で、「UHCの達成に必要な資金需要を満たす上で、低中所得国の財務大臣が心掛ける4つのポイント」を掲げた。具体的には、①経済発展の早い段階においてUHCの達成を追求する、②国内資金を最大限活用する、③国内資金を補完するために外的資金を活用する、④高齢化に伴う財政的困難に対処する-の各項目。


UHCを達成するための留意点について麻生財務相は、「国民皆保険は、所得再配分を促進し、中産階級を拡大させることで、その後の社会の安定と経済発展に大きく寄与した」と日本の経験をアピール。限られた財源の中でも安定的な医療給付を行うための制度を設計することは全ての国においても可能とし、各国の財務省はその制度設計に寄与すべきと強調した。


◎社会保険料ベースの制度構築は「負担」の意識から財政規律を高める


資金活用の面では、「まずは(当事国は)国内資金の活用を追求すべき」と指摘。主たる財源を租税、社会保険料のいずれかに求めるかは「難しい選択」としながらも、社会保険料をベースとした日本の制度は、「租税ベースの社会保障に比べ、負担と受益の関係が明確で助け合いの意識を強め、社会保障の権利性を高め、保険料という負担に対する意識から制度の財政規律を高めるなどの利点がある」と強調した。ただ、制度設計の複雑性や不要不急の受診横行などモラルハザードも起こりやすいとの見解も示し、「各国財務省は長期にわたり持続可能な保険財政の枠組み構築に重要な役割を果たすべき」とした。


一方、外部資金の活用にも触れ、「低中所得国は国際機関や他国ドナーからの資金援助、さらに母子保健の資金動員を行うGFF(グローバル・ファイナンシング・ファシリティ)などの資金ツールの活用も考慮しうる」と強調。財務大臣は「保健セクターのガバナンスや制度的枠組みの適切性を確保する上でも重要な役割を担っている」との見解を明示した。


◎消費増税を通じ社会保険財源の安定化を推進


世界共通の課題となってきた高齢化への課題に対しては、「日本では社会保障財政の安定化と充実を同時に目指している」と強調。消費税の増税を通じ、社会保障財源の安定化を進めるとともに、子育て支援の充実や低所得者の社会保険料の軽減、介護労働者の処遇改善、医療と介護の連携強化、認知症対策などの取り組みを行っていると説明した。


このほか、12月13日から2日間の日程で「UHCフォーラム2017」を東京都内で開催することにも触れ、「持続可能な保険財政の構築に財務大臣の果たすべき重要な役割を再確認するための絶好の機会になる」と指摘し、引き続き主導的な役割を果たす考えを強調した。

 


 

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