協和キリン 抗がん剤「ARQ197」の開発中止 有効性確認できず
公開日時 2017/10/10 03:50
協和発酵キリンは10月6日、抗がん剤としてフェーズ3まで開発を進めていた「ARQ197」(一般名:チバンチニブ)の開発中止を決定したと発表した。同剤は、c-Metとよばれる受容体型チロシンキナーゼを阻害することで抗がん効果を発揮する経口分子標的薬として開発していたが、期待された有効性を臨床試験で確認できなかった。同社は次期の有力製品として期待していた。
同社は3月、ソラフェニブ治療歴を有するc-Met高発現の切除不能肝細胞がんの患者を対象にしたフェーズ3(JET-HCC試験)で、主要評価項目である無増悪生存期間において、チバンチニブ群とプラセボ群の間で統計学的な有意差が認められなかったと発表。今後の開発の継続について検討していた。その前には、胃がん、非小細胞肺がんの臨床試験を実施していたが、期待された成果は得られていなかった。それらから今回、全ての開発を取りやめた。
同剤は、米ArQule(アーキュール)社が創製したもので、当時の協和発酵が07年4月に日本、アジアの一部地域(中国、韓国、台湾)での独占的開発・販売権を取得するライセンス契約を締結し、3000万ドルの契約金で導入したもの。契約の取り扱いについては今後協議するとしている。