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FRONTEO・AI Innovation Forum 製薬各社がAI活用の標的探索やドラッグ・リポジショニングで成果紹介

公開日時 2025/08/06 04:51
FRONTEOは8月5日、自然言語処理に特化したAI「KIBIT(キビット)」の活用事例を紹介するAI Innovation Forumを湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク、神奈川県藤沢市)で開催した。この日は、製薬各社から、AIを活用した標的探索やドラッグ・リポジショニングなどで実際に手掛けたユースケースや研究成果を紹介。新時代を迎えたAI創薬の新たな潮流を参加者に印象づけた。FRONTEOの豊柴博義取締役CSO は、「我々が目指すのは連続的なつながりでは想起できない非連続的な発見だ。未知の関連性を見つけることでセレンディピティを意図的に起こし、新たなブレイクスルーを生み出していくことにある」と強調した。

FRONTEOの特化型AI・KIBITは既知の文献情報から記載のない未知の関連性を発見する独自技術を強みとする。同社は、KIBITによる解析に加え、FRONTEOの創薬研究者やAIエンジニアの知見を組み合わせたAI創薬支援サービス「Drug Discovery AI Factory」(DDAIF)を展開。疾患関連遺伝子ネットワークの解析や標的候補に関する仮説構築などを通じて、医薬品開発における研究者の意思決定をサポートしている。

◎丸石製薬・千田氏 AI創薬は「企業規模によらず競争力向上に期待」

DDAIFを通じたFRONTEOとの協業について講演した丸石製薬の千田裕一郎研究本部研究企画ユニット・リーダーは、AI創薬について、「莫大なリソースを必要とせず、研究開発の加速化が見込めることで、ファーマの規模によらず、競争力の向上を期待することができる」と意義を述べた。FRONTEOに業務委託したドラッグ・リポジショニングでは、AIによる解析だけでなく、アンメットメディカルニーズや市場性、研究実効性、剤形などを踏まえた調査結果が得られたという。千田氏は、「AIで得られた情報をどう解析して、優先順位をつけて次に生かすかが重要。AI解析だけでは導き出せない結果が得られた点が大きかった」と強調。さらに候補として挙がった複数の対象疾患についてWET検証を行った結果、3疾患で用量反応性がみられたという。

◎UBE・岩瀬氏 AIと創薬に精通する研究者と「同じ目線での議論」に手応え

創薬研究やCDMO事業を手掛けるUBE医薬事業部の岩瀬徳明医薬研究所長は、FRONTEOとの共創プロジェクトとして実施したドラッグ・リポジショニングの事例を紹介。もともと1万6千あった対象疾患から、KIBITによる解析や参考情報の付与、標的遺伝子がネットワーク全体に及ぼす影響度を確認するVirtual Experimentsを経て数種類の疾患まで絞り込んだという。岩瀬氏は「AIにも創薬にも精通しているFRONTEOの研究者と、同じ科学者の目線で議論できたことが良かった」と振り返った。



◎エーザイ・高橋氏 標的候補を3か月で10遺伝子に絞り込み 「非常に効率的」


エーザイは、AIによる有用性評価を目的に、アルツハイマー病を含む神経変性疾患12疾患を対象としたターゲット探索を実施。KIBITで得られた991遺伝子から段階的な絞り込みを経て、3か月で最終的に10の候補遺伝子を抽出した。このうち1遺伝子は直接的な疾患へのつながりがみられない新たな候補ターゲットだという。講演したエーザイDHBL ヒューマンバイオロジークリエーションハブ インテグレイテッドデータサイエンス ヒューマンバイオロジーデータエコシステム部の高橋健太郎部長は、「数か月から1年かかるような実験をin silicoで絞り込むことができ、非常に効率的になった」と手応えを示した。
 
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