中外製薬・嶋内部長 コロナ禍のLINE WORKS活用 医療者の信頼を得る「現場のMRこそヒーローだ!」
公開日時 2021/02/19 04:52
ワークスモバイルジャパン主催の「2021 LINE WORKS DAY」が2月18日、オンラインで開催された。2020年7月にLINE WORKSをMRなど社員2400人に導入した中外製薬の嶋内隆人営業本部カスタマーソリューション部長が対談形式で登壇し、コロナ禍における同社のLINE WORKS活用事例を報告した。新型コロナの感染拡大でMR活動が制限される中、同社のMRはメールや電話以外のコンタクト手段としてLINE WORKSを活用している。嶋内部長は、10年来同社がサポートしてきた医療者によるチーム医療のワークショップを、MRがLINE WORKSを使って支援する取り組みで一役買っていることを紹介。嶋内部長は、こうした取り組みを通じて医療者の信頼を得る「現場のMRこそヒーローだ!」と強調した。
LINE WORKSはLINEのビジネス版アプリ。医療従事者にとっては使い慣れたLINEを通じて、手軽にMRに連絡ができる。2017年2月のサービス開始以降、導入企業は卸売業・小売・製造業・建設業など合計20万社を突破した。製薬業界においても、中外製薬をはじめ、あすか製薬、田辺三菱製薬、ノバルティスファーマなどで導入実績がある。
◎導入を決めた3つのポイント
嶋内部長はこの日のイベントで、LINE WORKSの導入を決めた3つのポイントに言及。①メール、電話、手紙以外のコンタクト手段、②銀行での導入実績があるなどセキュリティ面での信頼性、③医師とのやり取りも含めた簡便さ-などをあげた。特に、昨年は新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、MRが病院から訪問自粛要請を受けるなど、医師や薬剤師とのコンタクト手段に課題を感じていたと指摘する。アポイントの取得で他社MRから医師へのメール、電話、手紙が殺到し、「リモート面談を医師にお願いするアポイントのお願いすらままならない状況になっていた」と述べ、新たなコンタクト手段の確保が喫緊の課題だったと明かしてくれた。
◎まず1か月間のトレーニング その間に社内体制を整備
同社は昨年7月にLINE WORKSの導入を決めたが、その直後は、1か月間のトレーニング期間を設け、様々なルール作りやFAQの整備などを進めたとした。例えば夕方5時半以降や休日の問い合わせへ対応のルール化や社内にLINE WORKSの専用サイトを立ち上げるなどの対応を取ったという。
実走後は、MRが医師との面会に際し、二次元バーコードやQRコードなどを通じてLINE WORKSを紹介。リモート面談を行う場合も、PC画面に映るMR自身の背景にQRコードを投影するなど、LINE WORLSによるコミュニケーションを医師側に広める活動なども行った。その甲斐もあって、顔見知りの医師以外の医師とのコンタクトにも成功するなど、成功事例を積み重ね、その結果を社内で共有しているという。また、MR側のモチベーションのアップにもつながっているとした。
◎「既読」機能で、しっかり連絡を取り合うことができる
LINE WORKSの有効活用について嶋内部長は、研究会・講演会などの案内や開催直前のリマインドなどで役立っていると話した。最近は医師からの症例の打診や副作用の連絡、さらには患者向け資材の補充に関する連絡などがLINE WORKSを通じてMRに連絡が入るという。また、LINE WORKSの簡便さという点では、「既読」機能があることで、「しっかり連絡を取り合うことができる」と述べたほか、(診療中や急患など)電話が取れないようなケースにおいても、「LINE WORKSなら対応できる」として喜ばれている部分もあるとした。
◎医療者同士のリモート会合をLINE WORKSでサポート
中外製薬ならでは取り組みもある。同社は、過去10年にわたりチーム医療(医師、薬剤師、看護師など)のワークショップを支援してきた。ただ、コロナ禍でリアル開催ができず、リモート開催に切り替わる場合も「例えば看護師さんからトラブルの照会があったときに、MRが対処方法をLINE WORKSを使ってサポートする」など、一役買っていると説明。嶋内部長は、「こうしたイベントが終わった後も、医師や薬剤師、看護師とLINE WORKSを通じて情報共有ができるという部分が良いと思った」と強調した。
一方、社内活用にも触れ、最近は「MRだけでなく、本社のプロマネや安全性部門、メディカル部門のMSLなどがチームをつくって情報共有することにも取り組んでいる」とし、「今後は医師との会話の中に、MRだけでなく安全性の専門家や製品の専門家も交えてやり取りができるようにしたい」と期待感を込めた。