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【WSCリポート】CSPS2サブ解析 ラクナ梗塞患者の頭蓋内出血リスク シロスタゾールで有意に少なく

公開日時 2010/10/14 06:02

日本人のラクナ梗塞患者における頭蓋内出血の発現頻度はアスピリンに比べ、シロスタゾールで有意に少ないことが分かった。アスピリンとシロスタゾールの効果を直接比較した「CSPS2(Cilostazol for prevention of secondary stroke)」のサブ解析の結果から明らかになった。立川病院院長の篠原幸人氏が、韓国・ソウルで開催されている第7回世界脳卒中学会(WSC)で10月13日に開かれたサテライトシンポジウム(共催:大塚製薬)の中で報告した。(韓国・ソウル発 望月英梨)


CSPS2は、脳卒中の再発予防においてシロスタゾールのアスピリンへの非劣性を効果・安全性の両面から検討する目的で実施された。対象は、26週間以内の脳梗塞の既往がある20~79歳の日本人患者2757人。解析対象は、①シロスタゾール100mg1日2回投与群1337例②アスピリン81mg1日1回投与群1335例。主要評価項目の初発の脳卒中の再発(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)で、追跡期間は29カ月(中央値)。


すでに発表された本解析では、主要評価項目の発生率がアスピリン群の2.76%/人・年(82例)に対し、シロスタゾール群では3.71%/人・年(119例)で、脳卒中再発抑制におけるシロスタゾールのアスピリンへの非劣性が示されている(ハザード比:0.743、95%CI:0.564~0.981、P値=0.0357)。


抗血小板薬の有害事象として懸念される出血イベントは、シロスタゾール群で0.77%/人・年(23例)に対し、アスピリン群で1.78%/人・年(57例)で、シロスタゾール群で有意に少ないことが分かっている(ハザード比:0.458、95%CI:0.296~0.711、P値=0.0004)。


◎篠原氏 ラクナ梗塞や胃潰瘍患者ではシロスタゾールを推奨


今回の解析は、有害事象である出血イベントに焦点を当てたもの。出血イベントで2群間に有意差がみられたのは、①脳出血(P値=0.0027)②入院を必要とする出血(P値=0.0396)③消化管出血(P値=0.0257)――の3つのグループであることが分かった。


頭蓋内出血(脳出血、くも膜下出血)はアスピリン群31例に対し、シロスタゾール群10例で、シロスタゾール群で有意に少ない結果となった(P値=0.0022)。


脳梗塞のサブタイプ別に頭蓋内出血の頻度を検討したところ、ラクナ梗塞では、アスピリン群(874例)の1.20%/人・年に対し、シロスタゾール群(869例)では0.36%/人・年で、有意にシロスタゾール群で少ない結果となった(P値=0.0030)。アテローム血栓性脳梗塞は、アスピリン群(420例)は0.59%/人・年に対し、シロスタゾール群(435例)で0.31%/人・年で、有意差はみられなかった。なお、頭蓋内出血と血圧との関連性が指摘されているが、両群間に血圧値の大きな差はみられなかった。


篠原氏はこれらの結果から、「シロスタゾールは、特にラクナ梗塞や胃潰瘍患者などの非心原性脳梗塞の再発予防の選択肢として推奨される」と結論付けた。


そのほか、中国人を対象に、シロスタゾールの脳卒中の再発抑制効果を検討した「CASISP」試験の医療経済の観点からの解析や、複合解析は実施中であることも報告した。

 

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