RCTの結果でPSA検診の議論再燃-3
公開日時 2009/06/22 04:00
PLCO研究はコンタミネーションに課題
一方、PLCO研究については、「コントロール群のコンタミネーションの問題が大きすぎて、RCT研究として破綻しており、科学的に価値がない」と指摘する。実際、研究開始時点で過去3年間にPSA検診を1度受診したことがある人は、スクリーニング群で34.6%、コントロール群で34.3%。「2回以上」もスクリーニング群で9.4%、コントロール群で9.8%の割合で含まれており、両群ともに44%の人がPSA検査を受け、少なくとも進行がんでないことが確認されている。また両群のがん発見症例数の推移から、「コントロール群では、スクリーニング群と比べ、1~1.7年程度遅れてPSA検診が普及している。コントロール群、つまり非検診群としての分析は科学的でない」と話す。
さらに、サーベイランスもランダムに抽出した1%の症例に行っているのみであることなどから、「6年間で52%のPSA検査のコンタミネーションがあったとの推測も信頼性が低い」と伊藤氏。発見されたがんも、両群ともに限局がんが95%前後を占め、多くが早期に発見されていることから、「コントロール群のPSA検査のコンタミネーションは推定よりも高いのでは」と話す。
その上で、伊藤氏は約7万人のコホートデータを “コホート内症例対照研究”として解析するのが望ましいとの見解を示す。7年間の観察期間中に、前立腺がんで死亡した94症例と生存していた症例を対象に、後ろ向きにPSA検診受診歴を調査するというものだ。