薬剤経済学におけるモデル分析(2)
公開日時 2008/06/30 00:00
前回は薬剤経済学で頻繁に利用されるディシジョン・ツリーとマルコフモデルについて概説しました。この2つだけでも多くの疾患をモデル化することができますが、より複雑な疾患には別のモデルが必要になることもあります。今回は複雑な慢性疾患をモデル化するための手法を概説します。仮想疾患Aに対するマルコフモデル前回は非常に簡単なマルコフモデルで、患者推移や費用・QALYsの計算方法を説明しました。今回はもう少し複雑なマルコフモデルを考えてみましょう。図1に、ある仮想的な慢性疾患Aの予後に関するマルコフモデルを示しました。疾患Aは軽症から一定の確率で重症に移行します。しかし軽症の段階で治療介入することにより、寛解(「健康」に移動)する可能性もあります。「疾患A(軽症)」では従来療法が実施されており、一定の効果...