東京病院・永井感染症科部長 帯状疱疹ワクチン定期接種 「医療者の積極推奨が必要」 GSK主催セミナー
公開日時 2025/03/03 04:50
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国立病院機構東京病院感染症科の永井英明部長は2月28日に開かれたグラクソ・スミスクライン(GSK)主催のメディアセミナーで、帯状疱疹ワクチンの定期接種化を前に「接種希望者の来院を待つのではなく、医療者の積極的な推奨が必要だ」と強調した。そのうえで、高齢者向けのワクチン手帳を配布するなどの啓発活動に注力する必要があるとして、「大事なワクチンがあることをまず知ってもらうことが大切だ」と訴えた。
帯状疱疹は2025年4月から予防接種法上のB類疾病に位置付けられ、定期接種の対象となる。接種対象者は、65歳または、60歳以上65歳未満でヒト免疫不全ウイルス(HIV)による免疫機能障害を有する者とされる。65歳を超える人は5年間の経過措置として、5歳年齢ごと(70、75、80、85、90、95、100歳)が位置付けられている。
永井部長は「今や小児から高齢者までそれぞれの世代におけるワクチン接種を考える『Life-course immunization』という考え方が主流になっている」と説明。高齢者にとっては特に、インフルエンザ▽肺炎球菌性肺炎▽帯状疱疹▽新型コロナウイルス感染症▽RSウイルス感染症―の5疾患について、「積極的に接種してリスクを低減することで、医療機関の負荷軽減や医療費削減につながる」と主張した。
一方で、定期接種化の課題として対象年齢や公費助成のあり方には疑問を呈した。自治体によってはこれまで50歳以上の接種を公費助成の対象として行っていたところもあり、永井部長は「自治体によって助成の対象者や額に差が出たり、助成がなくなった年齢層の接種率が下がったりするのではないか」と危惧した。
◎GSK・國富氏 「適正使用情報の提供は一丁目一番地」 啓発活動や安定供給にも注力
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セミナーを主催したGSKの帯状疱疹ワクチン・シングリックス筋注用も定期接種として使用可能になっている。同社執行役員・ガバメントアフェアーズ&マーケットアクセス本部の國富太郎本部長は4月からの定期接種に向けて「適正使用情報の提供は一丁目一番地でやらなくてはならない」と強調。啓発活動や安定供給の責務を果たしていく考えを示した。