富山県 富士製薬工業に業務改善命令 複数製剤で承認書と異なる純度試験や定量試験判明 改善計画要請
公開日時 2022/01/19 16:25
富山県は1月19日、富士製薬工業(本社・東京、製造業・製造販売業・富山市)に対し、製剤の純度試験の一部を実施していなかったなど複数の薬機法違反に該当する事案が発覚したとして業務改善命令を下した。富山県は、①違反事項の原因の究明、改善、②法令遵守のための体制の抜本的改革、③是正措置及び再発防止策を含めた改善計画の策定-を同社に求めた。行政処分を受けた富士製薬工業は同日、「関係者の皆さまに信頼頂けるような会社となるよう、徹底した是正措置及び再発防止策を含めた改善計画を策定し、実践してまいります」とのコメントを公表した。
業務改善命令に至った主な違反内容は、①フォリルモンP注75、同注150の純度試験の一部を実施していなかった、②レボノルゲストレル錠1.5mg「F」について、承認書の規定と異なる方法で純度試験を行った、③ナファレリン点鼻液0.2%「F」について、承認書に規定された含量規格を下回る標準物質を用いて原薬及び製品の定量試験を行った-というもの。
◎昨年1月からの自主点検と社内調査で発覚 複数製剤で承認書と異なる製造
このうち卵胞成熟ホルモン(FSH)製剤フォリルモンP注75、同注150の事案は、同社が昨年1月より自主的な整合性点検を実施するなかで、明らかになったもの。21年6 月に富山県に報告し、 7月5日に同製剤の自主回収を行っている。その後、自主点検を含む社内調査を継続する中で、Gn-RH 誘導体製剤ナファレリン点鼻液 0.2%「F」で承認書に定められた含量規格を下回る標準物質を用いた原薬及び製品の定量試験を行っていたことが判明、緊急避妊剤レボノルゲストレル錠 1.5mg「F」も承認書に定められた方法と異なる方法で純度試験を実施していたことも分かり、それぞれ自主回収した。また富山県にも報告・相談し、昨年12月27日に最終報告を行っていた。
今回の行政処分はこの経緯を踏まえたもの。富山県は、製造業として承認を受けた試験の一部を実施していなかったことに加えて、医薬品製造管理者が、従業者を適切に監督せず、必要な注意をすることを怠ったことを重視。さらに製造販売業として、製品の品質管理を適正に行わなかったことや、承認事項の変更に係る手続きを行うことなく製造販売したこと、さらに医薬品等総括製造販売責任者が、品質管理業務を適正に行わなかったことを重く見て行政処分に踏み切った。
◎業務改善命令 法令遵守のための体制の抜本的改革に関する改善計画の策定要請
業務改善命令では、違反事項の原因の究明・改善のほかに、法令遵守のための体制の抜本的改革として、①各責任者の責任の所在の明確化、②医薬品製造管理者等が適切に監督し、製品の製造管理及び品質管理業務が適正に行われる体制の構築、③各責任者に必要な権限を付与し、その業務及び義務を確実に遂行できる体制の整備、④役職員の法令遵守の徹底、体制の整備-を求め、是正措置及び再発防止策を含めた改善計画の策定を要請した。
◎富士製薬工業 「改善計画を策定し、実践してまいります」とコメント
富士製薬工業は同日、「本命令を重く受け止め、患者さま、医療関係者の皆さま、その他の当社のステークホルダーの皆さまに多大なるご迷惑とご心配をお掛けいたしますことにつき、心よりお詫び申し上げます。また、関係者の皆さまに信頼頂けるような会社となるよう、徹底した是正措置及び再発防止策を含めた改善計画を策定し、実践してまいります」とコメントした。