英NICE CAR-T療法YescartaをCDFでの使用推奨
公開日時 2018/12/13 03:50
英国立医療技術評価機構(NICE)は11月29日、米Kite Pharma社の非ホジキンリンパ腫に対するCAR -T(キメラ抗体受容体T細胞)療法Yescarta(axicabtagene-ciloleucel)について、最終ガイダンス案をまとめ、抗がん剤基金(CDF)での使用を推奨すると発表した。NICEは同療法については、2018年8月に公表した当初ガイダンス案ではNHS(英国民保健サービス)における通常使用を推奨していない。
同療法のCDFにおける推奨の適応は、成人における再発・難治性びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫。非ホジキンリンパ腫のなかでも侵襲的なサブタイプとなっている。同剤は、2つ以上の化学療法を施行しても奏功しなかった症例、幹細胞移植後再発した症例を適応としている。
NICEは、同剤をCDFでの使用を推奨後、医療現場でのデータをさらに集積するとしている。全英7病院で同療法が展開される。
NICEのMeindert Boysen医療技術評価センター(CHTE)長は、非ホジキンリンパ腫の侵襲的なサブタイプはアウトカムが非常に不良だと患者の実態を指摘したうえで、「NICEによる同療法の推奨は、CDFを通して患者がCAR-T療法にアクセスできることを意味するのでエキサイティングである」とコメントした。
NICEは、同療法の当初ガイダンス案において同適応では費用対効果が獲得できないとの理由で推奨しない内容を示し、9月18日を締め切りとして意見募集を行っていたが、その後の評価委員会において、Kite社とCDFでの使用の際の価格について合意が得られ、CDFでの使用を承認した。同提供価格は非公開である。英国における同療法適格患者は毎年、約200人と見込んでいる。
NICEは、axicabtagene-ciloleucelが有望な治療法だとしながらも、長期的使用および発現可能性のある副作用では不確実性が残っていると指摘している。
Kite社は、米ギリアド社のグループ企業。ギリアド社が、2017年に同療法を開発したKite社を買収し、グループ企業としている。