自民党厚労部会・特命委 革新的新薬創出等促進制度の修正案提示 品目・企業要件拡大へ
公開日時 2017/12/13 03:52
自民党厚生労働部会・社会保障制度特命委等の合同会議が12月12日開かれ、新薬創出等加算を見直して制度化する“革新的新薬創出等促進制度”の修正案について厚労省から報告を受けた。修正案は新たに創設する革新的新薬創出等促進制度の対象となる品目を選定する際の、①品目要件、②企業要件-について、それぞれ当初案より拡大する。品目要件にある新規作用機序医薬品の要件を「1番手から3年以内に収載」などと改めるほか、企業要件の価格維持を行う区分Ⅰの範囲を「上位5%」から「上位25%」に修正する。ただ、この修正案でも製薬業界が求めるイノベーションの評価とは隔たりもある。厚労省はきょう13日の中医協薬価専門部会に修正案を報告する。
革新的新薬創出等促進制度は、厚労省が11月22日の中医協薬価専門部会に「薬価制度抜本改革の骨子案」として示した。研究開発型製薬企業の生命線である新薬について、革新性・有用性に着目し、国内試験の実施や新薬収載実績などの実績要件をポイント化(3区分)することで、それに応じた薬価を設定する。ただ、この提案に日米欧の製薬業界団体が強く反発。自民党内からも製薬企業の経営に大きなダメージを与えると異論が噴出し、修正案の策定が求められていた。
◎修正案 品目要件は抗体医薬など恩恵に 企業要件は外資にやや有利
今回示された修正案は、新規作用機序医薬品に係る品目要件を、当初案に示した「1番手から1年以内に収載、1番手が加算適用品」の規定を、「1番手から3年以内に収載、1番手が加算適用品又は基準に該当するもの」(下線部が加筆修正した部分)と対象範囲を拡大した。さらに、企業要件のうち区分1についても、当初案の「上位5%」から、「上位25%」に拡大することを盛り込んだ。
これにより革新的新薬創出等促進制度の対象となる新薬の範囲は拡大するが、現行の「新薬創出等加算」と比べて、新制度の対象品目が限定的であることは変わりない。なお、今回の修正案により品目要件の拡大については、抗体医薬などが恩恵を受けるとみられる。一方で企業要件は、内資・外資ともにプラスに働くものの、その影響は外資の方が大きいとの見方もある。
◎修正に先立ちPhRMAとEFPIAが共同声明 「投資損失大きい 経済成長に貢献できず」
今回の修正案に先立ち、米国研究製薬工業協会(PhRMA)と欧州製薬団体連合会(EFPIA)は12月8日付の共同声明として、「日本政府が現行案に大きな修正を加えないまま、これを採択して導入すれば、これまでイノベーションを促進してきた日本の市場環境は大きく損なわれ、日本は積極的に創薬イノベーションを育成・支援する国であるという世界的な評価は地に落ちてしまう」と強く非難した。その上で、グローバル製薬企業の「研究開発への投資損失や日本の経済成長に貢献できなくなる」と強い口調で薬価制度改革の骨子案そのものを批判した。
◎薬価改定財源の確定で、いよいよ診療報酬本体「改定率」決定へ
薬価制度改革の骨子案の修正はきょう13日の中医協薬価専門部会に報告される。焦点の次期診療報酬改定の「改定率」は薬価制度改革・骨子案の議論を経て財源調整を行う。