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医療ICT世論調査 遠隔診療への応用は「患者負担に配慮を」 日本医療政策機構

公開日時 2017/03/29 03:50

日本医療政策機構は3月28日、一般消費者を対象とした「2016年医療ICTに関する世論調査」の結果を発表した。遠隔医療など、インターネットを用いた医師の診療については、「未治療群」の過半数で前向きに受け止めていることが分かった。遠隔診療を受ける理由は、「通院の手間が削減され、治療の継続が楽になる」が全体の58%を占めた。このほか生活習慣病治療の中断理由について聞いたところ、年収400万円未満世帯で「費用面の負担」をあげていた。この調査結果を受け同機構は、政策面での課題に言及し、遠隔診療などに医療ICTを活用する場合は、「患者の個人負担などに配慮する必要がある」と強調した。


同調査は、①遠隔診療、②健康・医療データの共有、③人工知能の臨床応用-をテーマに、2016年11月~12月にインターネットを通じ、全国の男女1191人から回答を得た。


インターネットを用いて医師の診療を受ける「遠隔診療」については、85%が「受けてみたい」と回答した。その内容については、予防的な相談や慢性疾患のケアに関するものが多く、さらに回答の内訳をみると、健康体よりも、慢性疾患を指摘された「未治療群」で期待が高いことが分かった。遠隔診療に対する関心度を地域別にみると、離島や山村に限らず、都市部においても関心の高さが浮かび上がり、その理由として「通院の手間」をあげる回答が全体の約6割を占めた。なお、遠隔診療に用いるコミュニケーションツールとしては、テレビ電話をメインにチャットを補助的に用いるが48%で最も高かった。


◎ICT活用の遠隔診療は治療中断の障壁を取り除く 政策的には「費用負担軽減を」


生活習慣病の治療中断の理由について聞いたところ、年収400万円未満世帯では「費用面の負担」が34%となり、通院の手間や、仕事や家庭環境の変化といった項目を上回った。この結果に対し同機構は、「遠隔診療は治療中断の障壁を取り除く可能性がある」と指摘しており、今後の保険導入に際しての議論では、「個人の費用負担を抑えることも同時に検討する必要がある」と分析した。


◎人工知能の臨床応用「導入段階は医師のサポート」


医療・健康データの取り扱いについては、その管理者や所有者について世代間ギャップのあることが分かった。人工知能の臨床応用については、「診断精度が高ければ人工知能を診断に活用して欲しい」との回答が60%と最も高かった。そのほか人工知能の活用については「医師の補助」が51%だったのに対し、「メインで使用」が29%と、22ポイントの差が見られた。同機構はこの結果について、「人工知能は導入段階ではあくまで医師のサポート役であり、最終的な判断は医師が下すという使われ方の方が受け入れられやすい」と結論づけた。

 


 

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