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医療ビッグデータ・コンソーシアムが「政策提言2015」を発表 データ利活用で新産業創出を提案

公開日時 2015/12/15 03:52

「医療ビッグデータ・コンソーシアム」(代表世話人・本庶佑公益財団法人先端医療振興財団理事長、写真右)は12月14日、東京都内で記者会見し、医療ビッグデータの利活用に関する「政策提言2015」を発表した。政策提言では、全国の医療機関に集積されるレセプトや電子カルテの情報の利活用について言及し、製薬企業や医療機器メーカー、ITベンダーや社会インフラ系企業などを巻き込んだ「新たな産業の創出」を提案した。記者会見では、同政策提言を12月中に総務、文科、厚労、経産各省の事務次官、審議官クラスに手渡す方針を明らかにした。


同コンソーシアムは、レセプト情報や特定健診等の情報を集積した国のNDB(ナショナルデータベース)の民間開放など、医療ビッグデータの利活用に道筋をつけることを目的に2014年11月に設立された。産官学の有識者が参画し、会員企業には、アステラス、大塚、参天、塩野義、第一三共、武田、中外などの製薬企業が名を連ねる。このほか東芝、日本IBM,日立など日本を代表する社会インフラ系企業や大和総研や日興アセットマネジメント、野村不動産HD、アイ・エム・エス・ジャパンなど合計16社が参画している。


コンソーシアムでは、医療情報の領域を「ヘルスケア」「ライフサイエンス」「予防医療・健康情報」の3分野に分け、これまで計40回を超える討議を行った。そのアウトカムが今回発表された「政策提言2015」だ。


◎民間参入の障壁を撤廃を提言 ただ法改正などハードル高い


政策提言は医療ビッグデータの利活用で「つなぐ」、「活かす」、「変える」の3つのパートから構成される。「つなぐ」のパートでは、レセプト、特定健診、DPC、電子カルテなどそれぞれ単独で集積されている情報を連結し、医療DB(データベース)を整備構築するための統一的指針を策定すべきとした。また医療分野で個人を識別する「医療等ID」と医療DBを連結するための法規制など環境整備を国に求めている。


「活かす」のパートでは、データ分析や評価によって想起されるアイデアから「新たな産業を創出」するとした。このため国に対しては必要な法的整備を求めると同時に、医療ビッグデータに対する民間からのアクセスや活用のハードルを下げるべきと提言した。


ただ、利活用の部分は、現時点で超えるべきハードルが最も高い。個人情報保護法の適切な運用など法改正が求められる部分でもある。仮に法規制のもとで医療ビッグデータの利活用に関する「代理機関」が発足すれば、使用目的を外れない範囲で、製薬企業や医療機器メーカーが新薬や医療機器の開発にデータを活用できる。これにより開発コスト抑制や研究医療機関の選定などに応用できるとも指摘され、産業側からは強い期待感が示されている。さらに医療者側が行う臨床研究や医薬品の安全性評価なども実診療情報を応用することが可能になることから、企業側もこれまでと違ったスタンスで医療者との新たな協働の形を模索することもできる。


この点は政府側も検討する姿勢を示しており、政策提言に盛り込まれた、個人情報保護法の適切な「運用ガイドライン」の制定や、必要な法規制などを通じ、民間参入の障壁について何らかの策を講じる考えだ。


「変える」のパートでは、ビッグデータから得られる知見や価値観による国民のヘルスリテラシーの向上が提言された。今後は電子お薬手帳に代表されるPHR(Personal Health Records)が急速に普及することを見据え、国と個人の情報を通じた「共有財」という価値観の浸透に期待している。財としての共通認識を醸成することで、医療費や医療資源などへの国民の意識を高め、きたるべき超高齢化社会における様々な課題に対処する狙いが込められている。情報の可視化や共有化を通じて、医療費の適正化も視点の先に置いているようだ。

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