【World Topics】養護施設で未成年への薬剤過剰投与
公開日時 2014/11/21 03:50
医療分野でもいわゆるビッグデータが容易に入手、解析できるようになったことで、新たに見えてきた問題がある。そのひとつが薬剤の過剰投与問題で、薬剤投与に関する大型データの分析で実態が浮かび上がってきたものだ。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
問題が頻発している場面のひとつは高齢者介護施設である。すでにこのコラムでも紹介したが、大きくメディアに取り上げられて世論を湧かせたのはジョンソン・エンド・ジョンソン社およびその子会社による、高齢者介護施設へのアグレッシブな営業(医師への違法なキックバックを含む)であった。同社に出された支払い命令は懲罰的罰金を含め総額2200億ドルを超えた。
http://www.justice.gov/opa/pr/2013/November/13-ag-1170.html
最近カリフォルニア州で大きな社会問題となっているのが、養護施設や里親家庭で育照られている未成年の子どもたちへの薬剤の過剰投与問題である。
http://webspecial.mercurynews.com/druggedkids/
保護者と一緒に暮らせない事情のある子どもをあずかっている里親や、養護施設で、子どもたちが「問題行動がある」ことを理由に精神安定剤や、抗うつ剤、あるいはADHD治療薬などを多量に服用させられているという事実が、データの解析とその後の追跡調査で裏付けられ、明らかになったからだ。
http://www.cchr.org/cchr-reports/child-drugging/introduction.html
上の写真は過剰投与の犠牲となってきたティーンエイジャーが、強制的に飲まされてきた一日分の薬剤を掌に載せて示しているところ。サンノゼ・マーキュリーニュース紙の日曜版に大きく報道され、カリフォルニア中を震撼させた。過剰投与の実態を明らかにしたのは、カリフォルニア州が公開した医療データの解析結果であった。