田辺三菱 三津家専務が社長に昇格 6月20日付 ジレニアやカナグリフロジンの開発を指揮
公開日時 2014/04/24 03:52
田辺三菱製薬は4月23日、三津家正之専務(写真)が社長に昇格するトップ人事を発表した。この人事は6月20日付。土屋裕弘現社長は代表権のある会長に就任する。同日開いた会見で土屋社長は、「経営環境が急激に厳しい方向に変化した」「若く、パワーのある世代に経営をゆだねるべきとの考えに至った」と任期を残した中での社長交代になった理由を語った。
三津家専務は福岡県出身の59歳。東京大学大学院薬学研究科博士課程を修了し、82年に三菱化成に入社した。07年4月から三菱ウェルファーマで製品戦略部長を、同年10月からは田辺三菱製薬で製品戦略部長や開発本部長を歴任した。この間に現在グローバルで展開している多発性硬化症治療薬フィンゴリモド(製品名ジレニア)やSGLT2阻害薬カナグリフロジンといった製品開発を指揮した。
三津家専務は同社の現状について、海外導出品からのロイヤリティ収入が順調に伸び、「持続的成長を可能とする経営基盤が整備されつつある」との認識を示す一方で、合併後の6年間で構造改革が思うようには進んでいないとして「脂肪を取って筋肉だけ残すスリムな体質への変化が必要」と話した。収益の柱である国内事業について「営業力、収益基盤を強固なものに復活させることが直近の課題」とも述べた。
土屋社長は約5年間の在任期間を振り返り、グローバル展開に至った複数の新薬を上市させたことから「将来を支えるラインナップを一通り揃えることができたのではないかと自負している」と述べた。この間に起きたメドウェイ問題や品質管理問題については「再発防止と信頼回復に向けた取り組みを精一杯行ってきた。その結果、社外委員会も3月末に終了となり、これまでの取り組みに1つの節目を迎えることができた」と説明した。