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薬食審・第一部会 新薬など7剤審議 全て承認了承 アステラスのSGLT2阻害薬も

公開日時 2013/12/02 03:51
厚労省の薬食審医薬品第一部会は11月29日、新薬など7剤について承認の可否について審議し、全て承認を了承した。この中には、アステラス製薬が3月13日に申請した2型糖尿病薬で新規機序のSGLT2阻害薬もある。順調に行けば、14年1月に承認、4月に薬価収載される。SGLT2阻害薬では他に5成分が申請中であるが、今回了承されたスーグラ錠が最も早い発売となる見込み。
 
承認が了承されたのは次のとおり。(カッコ内は一般名、会社名)
 
▽スーグラ錠25mg、同錠50mg(イプラグリフロジン L-プロリン、アステラス製薬):「2型糖尿病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。海外未承認で、台湾や韓国で開発中。国内ではMSDと共同販促する予定。
 
腎臓の近位尿細管で糖を再吸収するSGLT2を選択的に阻害し、血中の過剰な糖を体外に排出する。用法用量は、通常50mgを1日1回朝食前または朝食後に服用し、効果不十分な場合は1回量を100mgまで増量できる。
 
インスリン非依存性で作用するため低血糖リスクが低い。ただし、脱水などの体液量減少に伴う有害事象や尿路感染症の懸念があるほか、海外での同作用機序の薬剤が承認されて間もない状況であることから、直後調査とは別に特定使用成績調査として▽2型糖尿病患者対象の3年間の調査▽65歳以上の2型糖尿病患者対象の1年間の調査--が予定されている。
 
▽ザルティア錠2.5mg、同錠5mg(タダラフィル、日本イーライリリー):「前立腺肥大症に伴う排尿障害」を効能・効果とする新効能・新用量・剤型追加に係る医薬品。再審査期間4年。海外では同効能で、11年に米国、12年に欧州で承認されている。
 
尿路組織でホスホジエステラーゼ-5(PDE5)を阻害することで血管を拡張し、患部への血流や酸素供給を改善する。国内では07年に勃起不全治療薬(製品名:シアリス錠)として、09年に肺動脈性肺高血圧治療薬(アドシルカ錠)として承認されている。
 
▽サビーン点滴静注用500mg(デクスラゾキサン、キッセイ薬品):「アントラサイクリン系抗悪性腫瘍剤の血管外漏出」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。欧米を含む32カ国で承認済み。
 
抗悪性腫瘍薬を静注する際に、薬剤が血管外周辺組織へ漏出すると、組織の炎症や壊死で難治性の潰瘍を形成する場合があるが、その治療薬となる。この適応では初の薬剤。厚労省の「未承認薬等検討会議」での検討を踏まえ、厚労省が開発企業を公募していた。
 
▽ワンデュロパッチ0.84mg、同1.7mg、同3.4mg、同5mg、同6.7mg(フェンタニル、ヤンセンファーマ):「非オピオイド鎮痛剤および弱オピオイド鎮痛剤で治療困難な中等度から高度の慢性疼痛における鎮痛(ただし他のオピオイド鎮痛薬から切り替えて使用する場合に限る)」の効能・効果を追加する新効能医薬品。再審査期間4年。
 
「中等度から高度の疼痛を伴う各種がん」に限定されていたのが、慢性疼痛にも使えるようにするもの。毎日貼りかえるタイプのパッチ剤で、3日毎に貼りかえるMTパッチ(デュロテップ)では慢性疼痛もすでに保険適用されている。
 
▽コンサータ錠18mg、同27mg、同36mg(メチルフェニデート塩酸塩、ヤンセンファーマ):「成人期における注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」の効能・効果を追加する新効能・新用量・剤形追加に係る医薬品。再審査期間4年。海外の承認状況は小児適応90カ国、成人適応38カ国。
 
これまでの小児期にしか使えなかったのを、成人期にも使えるようにするもの。36mg錠は今回新たに追加される。厚労省の「未承認薬等検討会議」の検討結果を踏まえ同省から開発要請していたもの。類薬には、日本イーライリリーのストラテラカプセル、同内用液があり、すでに小児、成人でも使えるようになっている。
 
▽サイスタダン原末(ベタイン、レクメド):「ホモシスチン尿症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。海外では欧米など34カ国で承認済み。
 
ホモシスチン尿症は、先天的な酵素欠損や代謝異常で、ホモシステイン、ホモシスチンが血中に蓄積し、知能障害、骨格異常、視力低下などを引き起こし、血栓症などで死亡するリスクが高まるケースもある。同剤は、体内のホモシステイン濃度を下げる。患者は日本では20万人に1人程度とされ、1977年~2010年までの累積では200人程度という。これまでに日本には治療薬はなかった。
 
▽アデムパス錠0.5mg、同1.0mg、同2.5mg(リオシグアト、バイエル薬品):「外科的治癒不適応または外科的治療後に残存・再発した慢性
血栓塞栓肺高血圧症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。海外では同効能でカナダでのみ承認済。
 
慢性血栓塞栓肺高血圧症は通常、カテーテル治療を行うが、その後に再発したり外科処置ができない場合の治療薬がなかった。
 
【報告品目】
▽ドルミカム注射液10mg(ミダゾラム、アステラス製薬):「歯科・口腔外科領域における手術及び処置時の鎮静」を効能・効果とする新効能・新用量医薬品。再審査期間なし。海外では、歯科・口腔外科領域を含めた処置前・処置中の鎮静に対しては100カ国以上で承認済み。
 
患者の意識を完全に消失させない形で、中枢神経を抑制し、治療に対する不安や恐怖心を取り除く「意識下鎮静法」にも使えるよう日本歯科麻酔学会から厚労省に要望されていたもので、アステラスが検討、公知申請した。同省審査管理課によると、通常の歯科治療が困難な障害者に対し用いられたりするという。歯科領域の意識下鎮静に使用されている他の薬剤としてはプレセデック静注液、サイレース静注、ホリゾン注射液などがある。
 
▽テネリア錠20mg(テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物、田辺三菱製薬):「2型糖尿病」に効能・効果を変更する新効能医薬品。再審査期間は残余(平成32年6月28日まで)
 
DPP-4阻害薬で、併用薬剤としてスルホニルウレア、チアゾリジン系の薬剤のみが認められいてたが、今回、同剤と併用が想定される他の経口血糖降下薬との併用の有効性が確認できたとして、その縛りをなくした形。
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