矢野経済研究所は9月19日、国内医療用医薬品の生産高(輸入品含む)について、2025年に向けて縮小するとの予測を発表した。薬価制度などの制度改革の影響の程度によって2通り示し、影響が大きい場合は現在の9兆円台が25年には7兆円台になるとの予測を示した。もう1つの予測は9兆円台だが、いずれも17年の予測生産高よりは縮小している。
これは、同研究所が、厚労省の「薬事工業生産動態統計月報」の医療用医薬品の生産高に輸入品を加えた16年確定値を基に、2017年から2025年までの生産高を予測したもの。1つ目のケースでは、「医療制度改革や薬価制度の見直しが医薬品需要に多大な影響を及ぼすことを想定」し、17年は9兆5810億円、21年には8兆3040億円と縮小し、25年にはさらに7兆2720億円まで落ち込むことを予測した。
2つ目のケースでは、「企業努力によって医療制度改革や薬価制度の見直しを上回る医薬品需要拡大が見込まれることを想定」したもので、17年が9兆6790億円、21年には9兆1970億円と縮小するが、25年には9兆3640億円とやや持ち直す予測を示した。「抗がん剤に加え、新たな需要拡大が期待される新薬として挙げられる認知症治療薬や慢性便秘薬、神経障害性疼痛治療薬、オピオイド鎮痛薬などのスペシャリティ領域における治療薬の上市が市場を牽引する見通しである」としている。
同研究所は「2021年度以降は薬価改定が毎年行われること、新薬創出等加算制度は薬価制度の抜本改革によって制度化されたものの、加算の要件が製薬企業にとって厳しい内容となったことは、両方のケースに共通している」とし、後発医薬品については両ケースでも拡大していくことを想定しているとしている。