富士フイルムファーマ 19年3月末に解散、従業員は退職へ GE事業の収益確保難しく
公開日時 2018/07/30 03:52
富士フイルムファーマは7月27日、19年3月31日付で解散すると発表した。これに伴い、現在取り扱っている後発医薬品(以下、GE)や長期収載品は、製造販売承認の承継や販売権の移管を行う。従業員は約240人で、うちMRは約140人。同社広報担当者によると、本人の同意の上で会社都合退職とし、再就職支援を行う。従業員には同日から、拠点ごとに会社解散などの説明を始めた。
富士フイルムファーマは09年11月に設立され、GEの開発・販売から事業をスタートさせた。同社株式は富士フイルムが85%、三菱商事が15%を保有している。
■薬価制度抜本改革が理由のひとつ
7月23日開催の取締役会で会社解散を決めた。解散理由は、「現在の事業活動では安定的な収益を将来にわたって確保することが困難であると判断」したためとしている。
同社広報担当者は本誌取材に、18年度薬価制度抜本改革によってGEや長期収載品の事業環境が急激に変化し、現在のコスト構造では将来にわたっての安定的な収益確保が難しいとの判断だと説明した。薬価制度抜本改革を理由のひとつとした製薬企業の解散は初とみられる。同社の直近の売上や利益は非開示。
■GE56成分を共創未来ファーマに承継・移管
現在販売している製品は順次、製造販売承認の承継や販売権の移管を進め、19年3月31日までに営業を終了する予定。社員にも同日までに退職などしてもらう。清算人による財産処分の後、同年6月末までに清算完了する予定。
今年3月末時点で、GE111成分、長期収載品3成分、その他3成分を販売している。このうちGE56成分は、東邦ホールディングスグループの医薬品製造販売事業会社の共創未来ファーマに承継あるいは移管する。承継・移管は18年10月から19年3月までに順次行う。承継・移管手続きが完了するまでの間、両社が連携して情報提供・収集活動を行う。
富士フイルムファーマの主な取引卸は東邦グループ。共創未来ファーマはGEのラインナップの充実に取り組んでいる。円滑な承継・移管が期待できることも、富士フイルムファーマが承継・移管先に共創未来ファーマを選んだ理由となる。
共創未来ファーマに承継・移管しない残りのGEは、基本的に販売中止の手続きを進める。
■グルコバイなど長期収載品3成分 バイエルに返還へ
富士フイルムファーマが取り扱っている長期収載品は、▽グルコバイ錠、同OD錠▽シプロキサン注▽アベロックス錠――の3成分で、いずれもバイエル薬品から独占販売権を得たもの。富士フイルムファーマは18年9月30日付で販売を終了し、10月1日からバイエルが販売する。情報提供・収集活動は富士フイルムファーマが12月末日まで行い、19年1月からバイエルが実施する。
このほか、インスリングラルギンのバイオシミラー、抗肥満薬、成長ホルモン製剤を扱っているが、他社への承継・移管を検討中という。