米FDA、EU GMP査察相互承認、機密保護を強化
公開日時 2017/09/11 03:50
欧州委員会(EU)はこのほど、今年3月2日、米食品医薬品局(FDA)と締結したGMP(製造規範)相互査察承認契約について、機密保護の面を強化する合意に至ったと発表した。
GMP査察については従来、米国およびEU各国の担当機関がそれぞれの地域に出向き査察を行っていたが、今回の3月のGMP相互承認契約により、原則的に、米国ならびにEU各国の担当官が相互の査察のため当該地へ出向かなくても、米国およびEU各国で行われたGMP査察結果を相互に利用できるようになった。この結果、FDAおよびEUともにGMP査察の重複の回避、経費の節減ができるほか、それに充当していたリソースをGMP査察違反の可能性の高い諸国へ投入できることになるメリットも生むことになった。
しかし、3月の合意では、査察結果についての機密保護に関する部分が明確かつ十分でなかったため、今回、機密保護に関する部分を明確にし、強化したもの。
具体的には、FDA担当官(もしくはEU担当官)が、EU担当官(もしくはFDA担当官)が実施した査察に関する企業秘密を含む非公開かつ商業的秘密情報を共有することを認める。この情報共有により、規制者が相互の査察報告に基づき、一定の決定を行い、査察のリソースをよりリスクのある製造サイトに振り向けるなど、一層効率的に査察業務を進める考えである。EMAは、3月の合意では、相互の担当機関が査察対象地まで出向かなくても査察の相互承認が可能となったものの機密保護の面が十分でなかったため、今回の機密保護強化への取り組みは、GMP査察についての相互承認を進める上での1つのマイルストーンであり、EMAとFDAの協力強化を目指すものと位置づけている。