臨床研究法案 衆院厚労委全会一致で可決 臨床研究不正受け透明性確保へ
公開日時 2017/03/21 03:52
衆院厚生労働委員会は3月17日、臨床研究法案について審議し、与野党全会一致で可決した。採決に際し、与野党で付帯決議も可決された。今週中にも衆院本会議で採決後、参院へ送付され、今国会中に成立する見通し。同法案は、昨年5月に閣議決定され、国会に提出されていたが、審議が遅れていた。法案では、製薬企業が資金提供する臨床研究や未承認・適応外薬を対象とした臨床研究を特定臨床研究と位置付け、カルテとデータを照合するモニタリングや利益相反管理の遵守を義務付ける。法整備は、ARB・ディオバンの臨床研究不正をはじめ、製薬企業による不透明な多額の資金提供が明るみになったことを踏まえて進められてきた。法制化により、透明性を確保することで臨床研究の不正に歯止めをかけ、製薬企業と研究者、臨床研究との適正性を確保することが期待される。
法案では、医薬品医療機器等法(薬機法)で定められた未承認・適応外の医薬品、製薬企業等から資金提供を受けて実施される当該製薬企業等の医薬品についての臨床研究を「特定臨床研究」と規定。モニタリング・監査の実施や、利益相反の管理など実施基準の遵守、記録の保存に加え、厚生労働大臣の認定を受けた「認定臨床研究審査委員会」による審査を求めた。
実施基準に違反した場合には、厚生労働大臣が改善命令を行い、従わない場合には臨床研究の中止命令、懲役3年以下、罰金300万円以下の罰則も設ける。
一方、製薬企業に対しては、自社製品の臨床研究への資金提供の契約締結義務化に加え、医師などへの資金提供について、毎年度の公表を義務付ける。違反した場合は、厚生労働大臣が勧告を行い、勧告に従わない場合には企業名の公表を行う。