支払基金・三好専務理事 医療ビッグデータで「製薬企業も疾病構造を体系的に分析」
公開日時 2017/01/31 03:50
社会保険診療報酬支払基金の専務理事に就任した三好昌武氏は1月30日、初の定例会見にのぞみ、支払基金や国保連といったレセプトの審査支払機関が保有するビッグデータの一元化が実現すると、保険者やアカデミアなどでの医療の質の評価につながるだけでなく、「医薬品メーカーや医療産業、あるいは生命保険会社が疾病構造を体系的に分析するための非常に有益なデータになる。様々な使い方があると思う」と述べた。
「(審査支払機関の)データをどこまで一元化できるかによる」とも指摘したが、医療ビッグデータが整理・運用されると、製薬企業の各種活動に影響を及ぼすとの見方を示した格好だ。
三好専務理事は和光証券(現みずほ証券)やメリルリンチ日本証券で約25年、医薬品産業のアナリスト業務に従事。その後、IMSジャパンで取締役バイスプレジデントを務め、2016年12月27日から現職。医療費や医薬品市場のデータ分析の経験が豊富。
支払基金をはじめとする審査支払機関には、レセプト電子化によって年間約20億件のレセプトデータが集積され、健診情報は年間0.3億件が集まり、さらに国保連では年間約1.5億件の介護レセプトを審査している。政府は国家プロジェクトとして、これら健康・医療・介護の個人情報を情報通信技術(ICT)で結んで一元的に収集・分析し、医療の質の向上や保険財政の効率化などにつなげる取り組みを進めている。収集・分析されたデータは民間も利活用できる。
支払基金は現在、審査支払業務の効率化に加え、保有するビッグデータとICTを最大限活用して医療の質の向上に寄与する頭脳集団を目指すとしている。