外資製薬企業の25年医療用医薬品売上高上位各社の決算概況を紹介する第3回目は、9位~12位のサノフィ、ブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)、ノボ ノルディスク、グラクソ・スミスクライン(GSK)を取り上げる。(全4回連載、
1回目 2回目)
【9位 サノフィ】
総売上高(医療用医薬品売上高)は前年比6%増(為替の影響を除くと10%増)の436.26億ユーロ(492.54億ドル)となり、9位だった。また、純利益は41%増の78.13億ユーロ(88.21億ドル)だった。
最主力品のアトピー性皮膚炎や気管支喘息等の治療薬・デュピクセントは20%増の157.14億ユーロ(177.41億ドル)と2桁増を続け、同社の医療用医薬品売上高全体の36%を占めている。デュピクセントは25年ブロックバスターランキングの4位となっている。
血友病Aに対する週1回投与の血液凝固第VIII因子製剤・オルツビーオが70%増の11.60億ユーロ(13.10億ドル)となり、10億ドルを突破した。25年に米Blueprint社を最大95億ドルで買収して獲得した、米欧で承認取得済みの消化管間質腫瘍(GIST)等に対するチロシンキナーゼ阻害剤・Ayvakit/Ayvakyt(アバプリチニブ)が3.05億ユーロ(3.44億ドル)寄与した。
RSウイルス感染症予防薬・ベイフォータスの売上は6%増の17.81億ユーロ(20.11億ドル)。多発性骨髄腫1次治療に適応拡大したサークリサは25%増の5.88億ユーロ(6.64億ドル)となった。
25年には米国で血友病A・Bに対するsiRNA・Qfitlia(フィツシラン)、米欧で免疫性血小板減少症に対するBTK阻害剤・Wayrilz(リルザブルチニブ)の承認を取得した。なお、為替レートは25年の年間平均で1ユーロ=1.129ドルだった。
2026年の総売上高は1桁台後半の増加率(CERベース)を見込んでいる。
【10位 BMS】
総売上高(医療用医薬品売上高)は0.2%減(為替の影響を除くと1%減)の481.94億ドルとなり、10位だった。純利益は70.54億ドルの黒字(前期は多額のインプロセスR&D費計上で赤字)だった。
最主力品の抗凝固薬・エリキュースは8%増の144.43億ドル、それに続くがん免疫療法薬・オプジーボ(ニボルマブ)は8%増の100.49億ドルと堅調だった。米国、欧州で承認を取得したオプジーボの皮下注製剤「Opdivo Qvantig」は2.38億ドル寄与した。
非小細胞肺がん等でオプジーボと併用するヤーボイは15%増の29.00億ドル。悪性黒色腫の適応を持つニボルマブ/抗LAG-3抗体レラトリマブ配合剤・Opdualagは28%増の 11.85億ドルとなった。
骨髄異形成症候群(MDS)に伴う貧血1次治療に適応拡大したレブロジルは31%増の23.27億ドル。24年に米国で慢性リンパ性白血病、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫に適応拡大したCAR-T細胞療法・ブレヤンジは82%増の13.58億ドルとなった。
閉塞性肥大型心筋症(HOCM)治療薬・カムザイオスの売上は77%増の10.68億ドルと10億ドルを突破。24年の米Karuna社買収により獲得した統合失調症治療薬・Cobenfy(xanomeline and trospium chloride)は15.5倍の1.55億ドル。
26年の総売上高予想は460億ドル~475億ドルと減収を見込む。25年には計217.85億ドル(前年比15%減)の売上規模だったレガシーポートフォリオ(エリキュース、レブラミド、ポマリスト、スプリセル、アブラキサンなど)の予想売上が12~16%減少することを反映している。このうち、エリキュースに限っては10~15%の増加を見込んでいる。
【11位 ノボ ノルディスク】
総売上高(医療用医薬品売上高)は前年比6%増(為替の影響を除くと(CER)10%増)の3090.64 億デンマーククローネ(DKK、466.69億ドル)となり、11位だった。当初、CERベースで16~24%の増収を予想していたが、米国における不正なセマグルチド配合薬の流通や、イーライリリーの競合品との競争激化などを要因に成長が鈍化した。純利益は1%増の1024.34 億DKK(154.68億ドル)となった。
最主力製品の2型糖尿病等に対するGLP-1受容体作動薬・オゼンピック(セマグルチド)の売上は6%増の1270.89億DKK(191.90億ドル)。肥満症等治療薬・ウゴービ(セマグルチド)の売上は36%増の791.06億DKK(119.45億ドル)となった。オゼンピックとウゴービを合わせて同社医療用医薬品売上全体の67%を占めている。
2型糖尿病に対する経口GLP-1受容体作動薬・リベルサス(セマグルチド)は5%減の220.93億DKK(33.36億ドル)と減少に転じた。なお、為替レートは25年の年間平均で1DKK=0.151ドルだった。
25年12月に米国で肥満症治療薬として経口投与セマグルチド「Wegovy pill」の承認を取得した。また、同年12月には、米国で週1回注射のアミリンアナログ「cagrilintide」とセマグルチドの配合剤(CagriSema)を肥満症治療薬として承認申請した。
25年には、米Akero Therapeutics社を最大52億ドルで買収。代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)による中等度から高度の肝線維症 (F2-F3)及び肝硬変 (F4)を対象に第3相試験段階にあるFGF21アナログ「efruxifermin」を獲得した。
26年の総売上高は5%~13%の減少(CERベース)を見込んでいる。
【12位 GSK】
総売上高(医療用医薬品売上高)は前年比4%増(為替の影響を除くと7%増)の326.67億ポンド(430.55億ドル)となり、全体で12位だった。純利益は113%増の62.89億ポンド(82.89億ドル)だった。
抗HIV薬全体の売上は8%増の76.87億ポンド(101.31億ドル)。ドルテグラビルとラミブジンの配合剤・ドウベイトは20%増の26.78億ポンド(35.30億ドル)。長時間作用型のHIV治療薬・Cabenuva/ボカブリア(カボテグラビル)及びHIV予防薬・Apretude(カボテグラビル)はそれぞれ38%増の14.02億ポンド(18.48億ドル)、57%増の4.39億ポンド(5.79億ドル)と大きく伸長した。
最主力品の帯状疱疹予防ワクチン・シングリックスの売上は6%増の35.58億ポンド(46.89億ドル)。米国で20%減となったものの、米国外で伸長した。
気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬・テリルジーの売上は11%増の29.86億ポンド(39.36億ドル)。25年5月に米国でCOPDに適応拡大したヌーカラは13%増の20.08億ポンド(26.47億ドル)となった。
がん領域では、子宮体がんの適応を持つ抗PD-1抗体・Jemperli (ドスタルリマブ)が 84%増の8.61億ポンド(11.35億ドル)、骨髄線維症治療薬・Ojjaar/オムジャラが57%増 の5.54億ポンド(7.30億ドル)となっている。なお、為替レートは25年の年間平均で1ポンド=1.318ドルだった。
26年の総売上高は3~5%の増加率(CERベース)を見込んでいる。2031年の売上予想は400億ポンド以上。