後発品検討会 構成員が「コンソーシアム形成で安定供給実現」を提案 大手3社と10~15の協業に再編も
公開日時 2023/11/14 04:47
厚労省の「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた 産業構造のあり方に関する検討会」は11月13日、業界再編についての具体的手法について構成員から提案を受けた。不適格企業が撤退した後に残る中堅・小規模企業がコンソーシアム(協業体制)を形成することで、最終的に業界全体を「大手3社+10~15程度のコンソーシアム」に集約・淘汰し、安定供給を図っていく姿を描いた。検討会では、意見を踏まえて、取りまとめに向けた議論を深める方針。
◎市場規模小さい成分も安定供給可能に 製造コストの削減と不要な価格競争回避
提案を行った安本篤史構成員(ネクスレッジ代表取締役)は、各社の強みを⽣かした相互に補完できる“協業体制(コンソーシアム)”形成により、⽣産余⼒を創出し、品質管理の底上げも実現するとの見解を表明。特に、市場規模が小さい成分では、1成分当たりの市場規模が小さいため、生産数量が少なく製造コストがかかり、利益を出しづらいと指摘。各成分の生産を得意としているコンソーシアムが大半を生産することで、製造コストの削減と不要な価格競争を回避することにつながり、薬価も守られ小さい中でも利益率の 向上を見込めるなどとした。
品目数の多さが安定供給に影響しているとの指摘も踏まえて、コンソーシアム内でシェアの高い企業に屋号を集約。屋号を持つ企業に製販を集約し、責任体制を明確にすることも提案した。「“協業体制”を形成していくことで、現在の共同開発のスキームを解消することも可能ではないか」ともしている。
◎セントラルユニット方式で品質底上げも 品質基準統一で
また、品質については、コンソーシアムに加わる1社が中心となり、品質管理を専門とする組織を設置し、品質保証・管理を行うこと(セントラルユニット方式)を提案した。コンソーシアムに所属する企業の品質管理を一貫して行うことで、すべての加盟企業の品質基準を底上げすることも打ち出した。これにより、出荷時試験の徹底や逸脱品の発生率の低減に寄与し、安定供給につなげたい考え。
こうしたコンソーシアムの導入で、最終的には、加盟企業の合意形成を前提に、コンソーシアムを形成する企業の1社を存続会社とし、他を吸収合併することで、最適化を図ることも描いた。
施策としては、複数社での品目統合を実施する場合は供給停止のルールを緩和するほか、安定供給の盤石化を実現した際には薬価を引き上げることなども必要とした。また、ライン増強のための投資や新たな管理費用の必要性も指摘した。
構成員からは、「いまの制度上もシェアが低い品目は撤退できるため、現在シェアが低くても撤退していない場合は、何らかの経営戦略により撤退していないと考えられる。撤退を促すためには、他の施策も必要ではないか」、「同一成分内で最後まで供給を引き受けている企業にも何らかの施策が必要ではないか」、「業界再編を促すには、比較的規模が大きい企業が旗振り役になることが必要ではないか」、「コンソーシアムなど、協業を促進するためには、各バリューチェーンにおいて業務の標準化が必要ではないか」などの意見が出たという。
◎堤構成員 基礎的医薬品は国が一定価格で買収、生産企業を募るのも一考
このほか、生産向上の取り組みとして、堤崇士構成員(グロービス経営大学院教授)から、
他産業の取り組みとして、トヨタ改善方式が紹介された。少量多品種を生産するためには、ムリ・ムダ・ムラを排除した、標準化と平準化を備えた見える化が必要と指摘した。
堤構成員は、「あくまで仮定の話」と断ったうえで、「薬価と生産を直接紐づけず、一旦厚労省にて 基礎的医薬品については一定の価格での買取を提示、生産企業を募るというのもあり得る」と提案した。
構成員からは、「後発品業界は受注を受けてからの生産が難しかったり、原価高騰を薬価に反映できなかったりするなど、後発品業界の特徴に留意が必要ではないか」との意見があったという。