かかりつけ精神科のがん検診勧奨 統合失調症患者の受診率が向上 岡山大など
公開日時 2021/08/04 04:50
岡山大病院らの研究グループは8月3日、精神外来通院中の統合失調症患者に対してかかりつけ精神科医療機関で看護師らが個別に大腸がん検診の受診勧奨を行ったところ、受診率が向上したことを臨床試験で確認したと発表した。統合失調症患者では一般住民に比べて検診の受診率が低いことが指摘されており、格差解消が課題となっていた。受診勧奨の普及により、がん検診の受診率が向上し、がんの早期発見につながることが期待される。
研究では、精神科外来へ通院中の統合失調症の患者を、通院先の外来スタッフが大腸がん検診の説明や受診手続きの説明・支援を実施した群(82人)と、市町村からのがん検診の案内のみを受けた群(82人)に分けて効果を検証した。受診勧奨は、看護師やソーシャルワーカーらがわかりやすい資料を用いて、受診の重要性を説明するなどした。その結果、市町村からの案内のみを受けた群の受診率は11.8%に対し、個別の検診勧奨を実施した群は 47.1%で、有意差が見られた(P<0.0001)。
研究グループは、岡山大学病院精神科神経科の藤原雅樹助教と山田了士教授、国立がん研究センター島津太一室長、島根大学の稲垣正俊教授らで構成される。論文名は、「精神科臨床場面におけるがん検診勧奨法のランダム化比較試験」。研究グループによると、統合失調症患者に対し、がん検診の勧奨法の有効性を検討した研究は世界で初めてという。
なお、研究結果は、国際医学誌「Acta Psychiatrica Scandinavica」のオンライン版に同日、掲載された。