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「日本循環器協会」設立 アカデミア・患者家族・自治体・製薬企業等の「橋渡し」プラットフォーム構築

公開日時 2021/05/11 04:53
循環器病の診療と研究のプラットフォームの役割を担う「日本循環器協会」が5月10日に発足した。がんに次いで死因別死亡率の上位を占める循環器病だが、2018年12月に国会で成立した脳卒中・循環器病対策基本法や、20年10月に作成された「循環器病対策推進基本計画」が追い風となり、健康寿命の延伸や循環器疾患の撲滅を実現する動きが活発化してきた。新設した日本循環器協会はアカデミア集団の日本循環器学会と、患者・家族、自治体、企業(製薬、機器、検査等)の橋渡し役を担う。協会が提供するプラットフォームは製薬企業、医療機器メーカー、検査会社などに開放し、これまで無し得なかった枠組みでの産学連携や患者団体との連携に基づく循環器領域での調査・研究、基礎・臨床研究の支援などに取り組む方針だ。

◎代表理事に小室一成・東大大学院医学研究科循環器内科学教授が就任「まずは予防に力を入れたい」

日本循環器協会の代表理事に就任した小室一成・東京大学大学院医学系研究科循環器内科学教授は同日、厚労省内で記者会見に臨み、「国民一人ひとりに循環器病を知ってもらい、どうやったら予防できるかを知る意義は大変大きい」と述べ、「まずは予防に力を入れたい」と第一声を発した。小室代表理事はまた、政府の脳卒中・循環器病対策基本法成立や循環器対策推進基本計画策定などにより、「循環器診療・研究の大きな変革期になっている」と強調。基本法の理念を構築するために日本循環器協会を設立したとの経緯を語った。

◎小室代表理事「専門医の集団と患者、国民の橋渡しをしたい」

循環器病をめぐっては、3万人超の会員数を誇る「日本循環器学会」や、経団連と学会が一緒に発足させた「日本心臓財団」がある。小室代表理事は、「そこにおいても少し足りない領域があった。その一つが患者さんとの関係だ」と指摘。「循環器学会は専門医の集団なので、患者の声を聴くことをあまり行ってこなかった。患者の立場になった医療は重要だが、それができにくかったという点がある。そこで協会として、専門医の集団と患者、国民の橋渡しをしたいと考えている」と述べた。

◎平田理事(神戸大教授)「日本循環器学会と日本循環器協会は車の両輪」

会見にリモートで参加した理事の平田健一・神戸大学大学院医学研究科循環器内科学分野教授は、「今回の日本循環器協会の設立は、日本循環器学会としても長年の願いであった。国民が循環器病で苦しまず、長生きするために、社会への啓発活動や産業、行政との連携が非常に重要になってきている」と強調。「日本循環器学会と日本循環器協会は車の両輪。日本循環器協会が発展し、学会と協力しながらいろいろなことに取り組むことを期待している」と述べた。

◎医療産業を対象とした産学連携によるレクチャー会開催も

この日の会見では日本循環器協会の事業活動も披露した。毎年8月10日「ハートの日」の前後に循環器疾患予防をテーマとするシンポジウムを開催。さらに基本法に基づき都道府県に設置される「循環器病対策推進協議会」と連携して、地域における一般向けおよび医療者向けセミナー等を開催する。製薬企業や医療機器メーカー、ヘルスケア産業などの医療産業を対象とした産学連携によるレクチャー会も開催する。

◎プラットフォーム上で製薬企業、機器メーカー、検査会社の枠を超えたパートナリングに期待

このほか産学連携による一般向けおよび医療者向け広報・啓発資材の作成・配付や、SNSを利用した知識の普及啓発、患者家族への療養指導、患者支援のためのチャリティなども。人材育成では、多職種ネットワーク形成支援と調査研究、循環器専門医以外のメディカルスタッフの育成なども予定する。製薬企業や医療機器メーカー関連では、プラットフォーム上で製薬企業、医療機器メーカー、検査会社など業態の枠を超えたコラボレーションやパートナリングも期待できそうだ。
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