【FOCUS ウイルスチェックはドライブスルー ショッピングはシニア専用時間帯】
公開日時 2020/03/26 04:51
Shelter@Homeに入ったシリコンバレー。不要不急の外出は不可。しかし、食料や日用品の買い出しと、万一病気になった場合の医療機関受診は、誰にとってもどうしても必要な外出（essential travel）である。（医療ジャーナリスト 西村由美子）
◎早朝にシニア専用時間
自宅待機命令が出された直後、量販店やスーパーマーケットには駐車場から外の路上まで長蛇の列ができ、生活必需品や保存食品が売り切れて棚が空っぽになった。困惑したのは感染回避のために人ごみに出ないように勧告されているハイリスク・グループ（慢性疾患のある人、妊娠中の女性、65歳以上高齢者）である。
業者側の対応は早かった。グルメ・スーパー大手Whole Foodsは3月18日から米国の全店舗を１時間早く開店し、その１時間を65歳以上高齢者専用時間とすると発表。同時に、全店舗の閉店時間を通常よりも２時間早めることを決め、朝一番で利用するハイリスク・グループの感染リスクを最小化し、商品切れリスクを回避するためである。その２時間を店内の徹底的な清掃と陳列棚への商品の補填に使うと発表。以来、毎朝の１時間が高齢者専用時間枠となっている。
https://media.wholefoodsmarket.com/news/whole-foods-market-adjusts-store-hours-to-better-serve-our-communities
全国チェーンのスーパー最大手の１つSafe Wayも毎週火曜日と木曜日の午前7時から9時を高齢者及びハイリスク・グループ専用時間とした。大手量販店Targetも毎週水曜日午前8時からがシニア専用時間となり、同時に全店舗の閉店時間を２時間早めて商品の補填にあてている。
若者に人気のスーパー・トレーダー・ジョーズでは1回の入店人数を10人に制限し、また待ち行列に並ぶ顧客には互いに６フィート（1.8m）の間隔を取るよう呼びかけている。行き届いているのは地元のグルメ・スーパーDraeger’s である。店舗の入り口に専用レセプショニストが立ち、マイ・ショッピングバッグの持ち込みを丁寧に断り（客は皆車に置きに戻る事になったが、もちろん誰も文句は言わない）、手指の消毒を依頼して瘡毒するのを見届けた上で、「店内では他のお客様から６フィート離れていてくださいね」と声をかけ、そのうえで店側の責任できれいに消毒した買い物カートを１台ずつ手渡してくれるという丁寧な対応であった。https://www.zanottos.com
◎スクリーニングは携帯アプリ、ウィルス・チェックはドライブスルーで
足りない、足りないと言われていたウィルス検査キットが医療機関に行き届き始めた。米国の感染者数のカウントが急上昇している理由の１つがこれである。シリコンバレー基盤の医療機関チェーン大手のカイザー・パーマネンテでは、医師から検査指示のあった患者は全施設のどこででもCOVID-19のウィルス・チェックが受けられる。ユニークなのは検査を全施設ともドライブスルーで検査を実施していること。韓国にならったと言われる手法だが、待ち時間・検査時間をともに短縮し、院内での感染リスクを下げることが目的だ。
https://mydoctor.kaiserpermanente.org/covid-19/symptoms-testing-and-treatment
シアトルにあるワシントン大学医学部付属病院でも。メイヨー・クリニックでも同様のサービスを提供している。
医療機関のホームページでは、検査を指示された患者はもとより発熱などの症状のある患者に対し、他者への感染をいかに回避すべきか、ウィルス検査前後の行動について、自宅を離れない、自宅でも可能な限り専用の個室を使い家族に感染させない留意、家族とも6フィート（1.8m）の距離をとり、また常時マスクを装着するなど、詳細に指示をしている。
大統領が宣言したとおり、COVID-19は医師の指示による検査も。入院を含む一切の治療も保険が全額カバーし、患者は自己負担不要である。
保険会社はテレヘルスの提供を強化。患者宛にメールでCOVID-19の症状のスクリーニングのためのモバイルアプリを配布し、アプリでの検査結果は医師がオンラインでチェックするなどのサービスを提供している。