改革工程表2019 薬剤種類に応じた償還率や一定額までの全額負担検討へ 夏の骨太取りまとめに向け議論
公開日時 2019/12/20 04:52
政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は12月19日、「新経済・財政再生計画 改革工程表2019」を決定した。給付と負担の見直しでは、「薬剤の種類に応じた保険償還率や一定額までの全額自己負担」など諸外国の薬剤自己負担の仕組みを参考に、20年6月の骨太方針取りまとめに向けて関係審議会で検討する方針を明示。その結果に基づき必要な措置を講ずるとした。また21年度から実施する薬価中間年改定(毎年改定)に向け、薬価改定の対象範囲について20年度中に決定を得る方針を示した。このほか診療報酬や介護報酬において、「アウトカムに基づく支払いの導入」について検討に着手する考えも盛り込んだ。
改革工程表は、新経済・財政再生計画に掲げられた主要分野の重要課題への対応(実施年度)とKPIを明示するもの。政府は、各施策の推進状況を点検・評価し、その時々で必要な措置を講ずる。このうち社会保障分野では、給付と負担、医療・介護サービス改革、予防・健康づくりの推進などで主要な取組事項を明示し、それぞれについて実施年度やKPIを明記した。
薬剤関係では、全世代型社会保障改革で議論の俎上にあがったOTC類似薬の給付範囲の見直しに絡め、「市販品と医療用医薬品との間の価格バランスを、医薬品適正使用の促進等を踏まえつつ、対象範囲を含め幅広い観点から、引き続き関係審議会において検討し、その結果に基づき必要な措置を講ずる」と明記した。薬剤自己負担の引上げを視野に置いたもの。議論に際しては、諸外国の薬剤自己負担の仕組みを参考にするとし、薬剤の種類に応じた保険償還率の設定や、一定額までの全額自己負担なども検討の俎上にあげる考え。検討スケジュールについては、骨太方針がまとまる20年6月に向けて議論を進め、この結果に基づき必要な措置を講ずるとしている。
◎20年度中に薬価中間年改定(毎年改定)の「対象範囲」設定へ
このほか21年度から実施する薬価中間年改定(毎年改定)にも触れた。20年度中に「18年度~20年度までの市場実勢価の推移、薬価差の状況、医薬品卸・医療機関・薬局等の経営への影響等を把握」し、これらを総合的に判断した上で、薬価中間年改定の対象範囲を設定するとした。また、生活習慣病治療薬の費用面も含めた適正な処方のあり方について、20年度診療報酬改定において、必要な措置を講ずるとしている。高齢患者の増大に伴うポリファーマシー対策にも触れ、医師、院内薬剤師、薬局薬剤師の協働の取り組みによる医薬品の適正使用の評価など、20年度診療報酬改定において多剤投与の適正化を推進するとした。
◎データヘルス改革本格始動 アウトカムに基づく診療報酬の支払い検討
データヘルス改革も20年度から本格化する。改革工程表では、「保健医療データプラットフォーム」の本格運用を目指し、20年度は特定健診情報を、21年度は薬剤情報を全国の医療機関等で確認できる仕組みを段階的に稼働させる計画を明示した。NDB(ナショナル・データベース)、介護DB情報の匿名での連結解析を可能とするシステムについて20年度中に検討し、稼働する。このほか、診療報酬や介護報酬において、アウトカムに基づく支払いの導入等の推進にも取り組む。具体的には、18年度診療報酬改定の影響の検証結果を踏まえ、20年度診療報酬改定において、アウトカム指標の見直しなどを実施する計画だ。21年度からは、アウトカムに基づく支払に関する「加算」の検討にも着手する。